「jetfon」「変なSIM」登場 改めて「クラウドSIM」のメリット・デメリットを知ろう5分で知るモバイル通信活用術(2/2 ページ)

» 2018年08月15日 14時30分 公開
[島田純ITmedia]
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改めて「クラウドSIM」について復習

 ここでクラウドSIMについてもう一度簡単におさらいしましょう。

 クラウドSIMは物理的なSIMカードを仮想化(データ化)したもので、主に組み込み機器で使われている「eSIM(Embedded SIM)」と同様に遠隔操作でSIMカードのデータそのものを書き込むことが特徴です。その特性から「バーチャルSIM(仮想SIM)」と呼ばれることもあります。

 もう少し具体的に説明すると、クラウドSIMでは「SIMバンク(SIMプール)」と呼ばれる装置に物理的なSIMカードをたくさん装着しておき、機器からのリクエストに応じて最適なものを仮想化して送ります。機器はSIMバンクから送られてきたクラウドSIMを使って通信を行います。

SIMバンクのイメージ SIMバンクのイメージ

 その最大のメリットは現地で契約した回線とほぼ同じ条件でデータ通信できることにあります。そのためデータ通信料金も割安です。渡航先や滞在日数などにもよりますが、おおむね国際ローミングよりも安く使えます。

 ただ「メリットはデメリット」とはいったもので、「現地と契約した回線とほぼ同じ条件」で通信するゆえに、現地の法律あるいはキャリアに通信規約に定める通信制限(検閲やブロッキング)もそのまま適用されうることにも注意が必要です。事前に渡航先の通信事情について調べておくことをオススメします。

 また、クラウドSIMをダウンロードするという仕組みから、通信ができるようになるまでに1〜3分ほどかかることにも注意が必要です。

GWiFi クラウドSIMを使う場合、通信できるようになるまでに1〜3分ほど時間がかかる(写真はイメージ)

「クラウドSIM」サービスはもっと充実する

 今後、クラウドSIMを使ったサービスはより活性化するものと思われます。

 jetfonのようなスマホタイプの機器も注目に値しますが、SIMカードタイプのサービスも見逃せません。

 旅行会社のH.I.S.(エイチ・アイ・エス)と日本通信が設立した合弁会社「H.I.S.モバイル」が発売した海外用プリペイドSIMカード「変なSIM」はその一例です。

変なSIM 変なSIM(シールタイプ)

 変なSIMは既存のSIMカードの上に“貼り付ける”シールタイプのSIMカードを採用していることが特徴です(詳しくは後述しますが、通常のSIMカードタイプもあります)。初期費用はSIMカード代金の1980円(税別)だけで済むため、ルーターやスマホと比べると手軽に始められます。9月30日まではキャンペーンでSIMカード代金が990円(税別)となるため、さらにおトクです。

 料金は世界どこでも24時間500円/200MB(非課税)と分かりやすくなっています。容量を超過した場合はスピードが低下するものの、引き続き通信できます(24時間後に速度回復)。一部地域を除きLTE通信も可能です。

 シールタイプにおけるSIMカードの切り替えや、データ容量の購入は専用アプリから行います。SIMカードは「3年間未使用の場合無効化される場合がある」とされているので、従来の海外用プリペイドSIMよりもある意味で安心です。

変なSIMアプリ 変なSIMアプリのイメージ

 ただし、jetfonや先日紹介した「Pocket WiFi 701UC」など、uCloudlinkのシステムを使ったサービスは100カ国以上対応しているのと比べると、変なSIMは対応国・地域が75と少なめです。事前に使う国・地域が対応しているかどうか確認しましょう。

 またシールタイプの変なSIMは物理的に入らない端末やSIMの切り替えがうまく行かない端末もあります。そこで変なSIMではカードタイプ(マルチサイズ)も用意しています。シールタイプを購入してうまく入らなかったり、SIMの切り替えができなかったりした場合は、カスタマーセンターに連絡すればカードタイプに1回だけ無償で交換してもらえます。シールタイプに不安を覚える場合は、最初からカードタイプを買うというのも手です。

 なおシールタイプもカードタイプもSIMロックフリー端末、またはSIMロック解除済みの端末が必要です。


 クラウドSIMを活用した、海外での割安なデータ通信サービスがここにきて充実し始めました。

 多くのサービスは「使わなかった場合は料金が発生しない」仕様で、国際ローミングや現地のプリペイドSIMカードとの併用もしやすくなっています。海外旅行・出張へ行く機会がある人は、心の片隅に置いておいても良いのではないでしょうか。

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