24時間あたり980円(非課税)を追加で支払うことで、海外で国内用のデータ(パケット)容量を使って高速データ通信できるサービス。au(KDDI・沖縄セルラー電話)が初めて導入し(参考記事)、しばらくたってNTTドコモも追随しましたが(参考記事)、ソフトバンクからは対抗サービスがなかなか出てきませんでした。
そんな中、ソフトバンクが「Y!mobile」ブランドで「Pocket WiFi 701UC」なるモバイルWi-Fi(無線LAN)ルーターを発売しました。定額料金に「1日90円」を追加で支払うことで、海外でも月間7GBの高速データ通信ができるというものです。
別途ルーターを購入する必要はあるものの、1日90円というプライシングは破格。それを実現したのは、以前も紹介した「クラウドSIM」という仕組みです。
今回は、大手キャリア初となる「セカイルーター」の実像に迫ります。
701UCは、専用料金プラン「Pocket WiFi 海外データ定額」に加入することで海外でも使えるようになります。組み立て的には、既存プランである「Pocket WiFi プラン2」に専用オプション「海外データ定額」を組み合わせたもので、ベースプランにオプション料金として月額284円(税別)が加算されます。これにより、国内、海外でそれぞれ月間7GBのデータ通信量が使えます。3年契約の「さんねん」を適用した場合の月額料金は、オプション料金込みで3980円(税別)です。
701UCの本体(一括)価格は3万7800円(税別:Y!mobileオンラインストア価格)で、購入に伴い月額1050円の「月額割引」36回適用されるため(総額3万7800円)、3年間使うと「実質0円」となります。
ルーターとしての主なスペックは以下の通りです。
機種名 | Pocket WiFi 701UC |
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メーカー | uCloudlink |
画面 | 約4型液晶 |
バッテリー容量 | 5350mAh(ユーザー交換不可) |
連続通信時間 | 約18時間 |
連続待受時間 | 約1070時間 |
対応通信規格・周波数帯 | FD-LTE:Band 1/2/3/4/5/8/17/19 AXGP・TD-LTE:Band 38/39/40/41 W-CDMA:Band 1/2/4/5/6/8/9/11/19 GSM:850/900/1800/1900MHz |
無線LAN(Wi-Fi) | IEEE 802.11b/g/n(2.4GHz帯):最大5台接続可能 |
サイズ | 約65(幅)×126(高さ)×19(奥行き)mm |
重量 | 約240g |
701UCの最大の特長は、何といっても海外利用時のデータ通信料が割安であることです。
他社に先駆けて、ソフトバンクは1日2980円(非課税)の「海外パケットし放題」や、米国での音声通話・データ通信に追加料金が発生しない「アメリカ放題」など、印象深い海外渡航者向けサービスを提供してきました。しかし、ここ最近は「他社と比べて海外ローミングサービスに力を入れていないのでは……?」とも思えるぐらいに動きがありませんでした。
そんな中で突然発表された701UCとPocket WiFi 海外データ定額ですが、ソフトバンク(SoftBank)とY!mobileの両ブランドを通して(アメリカ放題は別として)従来の海外データローミングサービスよりも圧倒的に低廉な料金を実現しています。
その秘訣(ひけつ)が、701UCが内蔵する「クラウドSIM」です。
通常の海外ローミングサービスでは、現地のモバイルネットワークを一時的に借りて使う形となります。そのため、ローミングを受け入れる現地の事業者に料金の支払いが発生するため、ある程度割高になっています。
それに対し、クラウドSIMは「渡航先の現地SIMを仮想化して使う」仕組みとなっているため、ローミングと比べて圧倒的に安価に使えるのです。
クラウドSIMを使った通信サービスを提供する事業者(701UCの場合はuCloudlink)は、「SIMバンク」あるいは「SIMプール」と呼ばれる装置を用意し、そこに大量のSIMカードをストック(装着)しています。
ユーザーが渡航先に到着してルーターの電源を入れると、ルーターはストックの中から最適なSIMカードの情報を仮想化して、ネットワーク経由でルーター上のクラウドSIMに書き込みます。イメージとしては、「屋台に並べられたSIMカードの中から、最適なSIMカードを自動的に選択して差し込んでくれる」といった感じです。
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