「海外データ通信が現地SIMに近い料金で使える」と聞くと、クラウドSIMは良いづくめのようにも見えます。しかし、仕組みゆえに気を付けなければいけないこともあります。主な注意点は以下の通りです。
中国では「金盾」とも呼ばれる大規模なネットフィルタリングシステムが運用されており、主立った所では「Google」「Twitter」「Facebook」「LINE」と、それに関連するサービスの通信が原則として遮断されてしまいます。クラウドSIM対応ルーターが中国で中国の通信事業者のSIMカードをダウンロードした場合、この規制がそのまま適用されます。中国に限らず、一部の国・地域では宗教上の理由、あるいは政府の方針でコンテンツやサービスがブロックされることがあります。
海外ローミングなら原則としてこのようなコンテンツブロッキングは行われません。「ならば当該国以外の事業者のSIMカードを選択できれば……」と思うところですが、2つ目の注意点で挙げた通り、接続先事業者は手動で選択できません。「何か通信速度が遅いなぁ……」ということで通信事業者を変えたくても、同様に変えることはできません。
また、Pocket WiFi 海外データ定額では、海外でのデータ通信量が月間7GBを超えると通信速度が上下最大64kbpsに制限されますが、現在のところ、この制限を解除する方法はありません。唯一、解除できる方法は“翌月まで待つ”ことです。
データ通信量は端末の画面上にも表示されます。うっかり7GBを超えることが無いようしましょう。なお、国内と海外の通信量は別個にカウントされるため、国内での通信量が月間7GBを超過しても、海外のデータ通信速度には影響がありません(逆も同様)。
701UCには、2つのnanoSIMカードスロット備えています。これらのスロットはSIMロックフリーで、国内外の通信事業者のSIMカードを挿して使えます。
このため、以下のような使い方もできます。
何らかの理由でクラウドSIM経由でのデータ通信が利用できない場合でも、バックアップ(予備回線)として通常のSIMカードを使えるので、「通信をどうしても途絶させるわけにはいかない!」という人(ビジネスマンなど)にとって心強い仕様となっています。
ちなみに、複数の国を周遊することを想定したプリペイドSIMカードも販売されています。ある意味でセカイルーターのバックアップ用に最適です。ただし、スマートフォンなどでダイアラーを使ってコマンドを入力する必要があるものは使えませんので注意しましょう。
ただし、「701UC」はモバイルWi-Fiルーターのため、開通時やパッケージ購入時に何らかのコマンド操作が必要となる種類のサービスは利用できない点には注意が必要です。
ところで、701UCはモバイルWi-Fiルーターにしては大きな4型ディスプレイを搭載しています。これは、uCloudlinkが販売するベースモデル「GlocalMe G3」でも同様です。
uCloudlinkいわく、「レンタル業者が画面上広告を配信することでデータ通信料金(あるいはレンタル料金)をディスカウントする仕組みを検討しているから」大画面になっているそうです。
筆者が知る限り、現時点でGlocalMe G3で広告を表示している事業者(レンタル業者を含む)はありませんが、データ通信料を支払う代わりに、広告を見るとデータ通信量が得られる(あるいは割り引きされる)サービスが今後始まるかもしれません。
クラウドSIMだけではない、セカイルーターやクラウドSIMサービスの今後の発展に期待しています。
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