「iPhone 6s」の“docomo with対応”が意味するもの

» 2018年08月28日 15時27分 公開
[田中聡,ITmedia]

 NTTドコモは、9月1日から「docomo with」の対象機種に「iPhone 6s(32GB)」を追加する。

 docomo withは、対象機種を使っている間は、毎月1500円が割り引かれるプラン。これまでは3万〜4万円台のAndroidスマートフォンが対象だったが、ついにiPhoneが追加された。iPhone 6sは2015年に発売された機種。約3年前の機種が“現役”モデルとして再び脚光を浴びるのは、寿命の長いiPhoneならではといえる。

 3万9600円(税別、以下同)という価格も魅力だ。1500円の割引が29カ月続くと4万3500円になり、端末代金(税込4万2768円)の元がとれる。iPhoneをキャリア回線で安く使いたいという人に支持を集めそうだ。

 今回は、iPhone 6sがdocomo with対象になったことの影響を考えてみたい。

iPhone 6s docomo withに追加された「iPhone 6s」

なぜこのタイミングなのか?

 まず気になるのが、なぜ2018年8月というタイミングにiPhone 6sがdocomo withに加わったのかということ。

 公正取引委員会は7月11日に、Apple Japanが独占禁止法に違反する文書を公開し、Apple Japanと3キャリアの間に「iPhone Agreement」なる契約があったことが発覚した(関連記事)。その中で、iPhoneの購入者に対して、キャリアや販売店が「補助金」を提供する旨が定められていたが、公取委の指摘を受け、Apple Japanは端末購入補助を伴わない分離プランをiPhoneにも提供できるよう改定した。

 実際、auユーザー向けの補助金である「毎月割」が提供されない「auピタットプラン」や「auフラットプラン」では、当初はiPhoneが対象外だったが、後日iPhoneも対象となった。ドコモも、iPhone Agreementの内容が改定されたことを受け、iPhone 6sをdocomo withの対象としたと考えられる。

なぜiPhone SEではなく6sなのか

 意外だったのが、「iPhone SE」ではなくiPhone 6sだったこと。iPhone SEは2016年3月発売ながら後継機が存在せず、「小型のiPhoneを持ちたい」という人から今もなお支持を集めている。Y!mobileやLINEモバイル、UQ mobileなどキャリアのサブブランドも、iPhone SEの新品を販売している。

 docomo withに入るのならiPhone SEになるのでは、と見る向きもあったが、SEの32GBモデルは4万7400円(※端末購入サポートとして3万3000円が引かれるので、実際は1万4400円)。docomo withの対象機種は、今のところ税別で2万円台後半〜3万円台後半に限られており、iPhone SEは少し高いと判断したのか、あるいはSEの4型という小さなディスプレイは、幅広いユーザーには響かないと判断したのかもしれない(6sは4.7型)。

iPhone 6sはいつまで現役でいられるのか

 iPhone 6sがdocomo with対象となったことで、6sユーザーがさらに増えるわけだが、iPhone 6sのOSバージョンアップがいつまで続くのかは気になるところ。

 iPhone 6sから2世代前の「iPhone 5s」が、2018年秋に配信予定の「iOS 12」の対象になったことを鑑みると、6sもあと2回、2019年と2020年に配信される新OSの対象になる可能性が高い。それなら、2021年秋に配信される新OSへの対応が打ち切りになったとしても、今から3年ほどは現役で使えることになる。

サブブランド対抗の狙いも

 docomo withは、サブブランドへの対抗措置でもあるとドコモの吉澤和弘社長は述べていた(関連記事)が、今回の6s投入も、サブブランド対抗の面がありそうだ。実際、ドコモから特に流出が大きいと思われるY!mobile、そしてau系サブブランドとして勢力を伸ばしているUQ mobileもiPhone 6sを扱っている。

 興味深いのが、ドコモがiPhone 6sのdocomo with追加についてのプレスリリースで、docomo withを適用した場合の料金イメージとして、1人あたり月額1980円〜と説明していること。これは代表回線1つと子回線2つを合わせた3回線で、基本プランはかけ放題なしの「シンプルプラン」を、データ通信は15GBをシェアする「ベーシックシェアパック」を契約して各種割引を適用した場合の、1人あたりの“平均金額”。

iPhone 6s ドコモがプレスリリースで例に出している月額料金。サブブランドと同等レベルの金額で使えることをアピールしているように見える

 あえて平均値を出すのは珍しいが、この月額1980円という数字は、Y!mobileとUQ mobileが低容量プランで提供しているものと同じ(実際は1年目のみ割引があるが)。こんなところからも、ドコモがサブブランドを意識していることが読み取れる。ちなみにiPhone 6s(32GB)の端末価格はY!mobileが6万5300円、UQ mobileが5万5300円でドコモより高い。上記のような使い方なら、かけ放題なしという弱点はあるが、確かにドコモの方がサブブランドよりもお得に運用できる。

 MVNO全体への影響はどうか。MVNOサービス(格安SIM)の多くがドコモ回線を使ったもので、ドコモにとってMVNOは「パートナー」であり、吉澤氏も(ドコモ系の)MVNOとは共存する考えを示している(関連記事)。とはいえ、iPhone 6sをキャリアでも安く運用できるということで、結果としてサブブランド以外のMVNOへの流出を抑える効果もある程度はありそうだ。

他メーカーへの影響も?

 docomo with追加効果でiPhone 6sがヒットすれば、その割を食うのは他メーカーだ。例えば、サムスン電子の「Galaxy Feel」やシャープの「AQUOS sense」は、docomo with効果もあって大きなヒットを収めた。シャープはAQUOS senseが売れたおかげで、国内携帯電話のシェアがソニーモバイルを抜いて2位になったほどだ(関連記事)。

AQUOS senseGalaxy Feel docomo with効果もあってヒットした「AQUOS sense」(写真=左)と「Galaxy Feel」(写真=右)

 iPhone 6sは、他メーカーのミッドレンジ端末にとって、強力なライバルになるだろうし、Appleの国内シェアをさらに押し上げるキラー端末になるかもしれない。2018年冬商戦ではdocomo withに新たなAndroid端末が追加されるだろうが、今後、iPhone SEやiPhone 7が追加される可能性もある。docomo withのAndroidとiPhoneがどのような戦いを繰り広げるのかも注目したい。

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