mineoの“ソフトバンク回線”に市場は存在するのか? ケイ・オプティコム上田氏に聞く:MVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2018年08月30日 15時22分 公開
[石野純也,ITmedia]
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予約は想定通りに集まっている

―― 間もなく提供が開始されるSプランですが、予約の手応えはいかがでしょうか。

上田氏 8月1日に開始していますが、事前想定数とほぼ同じぐらいですね。順調に予約いただいています。

―― それは予想を堅めにしていたということでしょうか。

上田氏 Dプランを始めるときに先行予約をやったデータがあり、それと最近の市場動向やLINEモバイルさんがソフトバンク回線のプランを始められたことも加味して、このぐらいの数字かなという予想は出していました。実際、それとほぼ同じ数字になっています。

―― となると、サービスイン直後に帯域が足りなくなることはなさそうですね。

上田氏 ソフトバンクの場合、毎月の中でいつ増強するのかが決まっていて、月に2回あります。ただ、それはあくまで実際に増強される日で、申し込みはどのぐらい前にしなければいけないということも決まっています。そろそろオープンのときの帯域幅を決めなければならないのですが(インタビュー日は8月24日)、先行予約の数を見ながら考えていきます。

―― そのタイムラグがあると、ユーザー数やトラフィックパターンの読みが外れたときが大変そうですね。

上田氏 ただ、ソフトバンク回線を検討し始めたときよりは、だいぶ柔軟に業務フローを変えていただけました。本当はもっと厳しく、2カ月前に帯域を決めなければならなかったのですが、そこは調整の結果、今のような形になっています。

1GBプランはなぜ廃止に?

―― 話は変わりますが、ソフトバンク回線提供に合わせて、1GBプランが廃止されることになりました。これはなぜでしょうか。

上田氏 Sプランを追加すると、本当に料金のメニューがたくさんあるように見えてしまうので、ちょっと整理したいというのがありました。1GBをなくし、500MBと3GBがあまり使わない人向け、6GBと10GBがキャリアさんと同じような感じで使う人向け、20GBと30GBがどんどん使う人向けというように、お客さま向けとして分かりやすく整理したつもりです。

―― もっとドラスチックに、例えば3つぐらいにすることはできなかったのでしょうか。

上田氏 そこまでドラスチックにはできませんでした。

―― それはニーズが細かく分かれているかということでしょうか。

上田氏 そうですね。例えば、500MBはジュニア向けにもなっていて、スマホを持たせたいが、ネットはそこまで使わないというときに使い勝手がいいプランです。そこを「S」のような形で(3GBプランと統合して)1つにするのは、やはり難しかったですね。

―― そういう意味だと、500MBはややニーズとして特殊なのでしょうか。

上田氏 多いのはやはり3GBで、これが全体の6割ぐらいです。次は6GBで1割超、500MBはその次に来ています。そういう意味では、ほとんど使わないがスマホが持ちたいという一定のニーズがあるので、残すことにしました。

―― 廃止になる1GBは少なかったんですね。

上田氏 500MBより少なく、全体の中では1割を切っていたぐらいです。

―― 同じ9月から、Y!mobileの料金プランを改定し、使えるデータ容量が増えることになります。この影響をどう見ていますか。

上田氏 数の上でどうなるかは分かっていませんが、ソフトバンクを今お使いの方で、Y!mobileへ行く方の数はけっこう多い。われわれがSプランを出すときも、Y!mobileは意識しました。(容量改定は)脅威にはなりますね。

―― もともとau回線から始めたこともあり、ユーザーの比率もAプランが多かったと記憶しています。現状と、今後どうしていきたいかを教えてください。

上田氏 最近だと、Dプランの割合が増えてきていて、累計でほぼ同じぐらいになりつつあります。まだ若干Aプランの方が多いですが、ほぼ五分五分といったところですね。ここにSプランが9月に追加され、じわじわ加わっていく形になると思います。ただ、始めた時期も違い、価格もSプランはちょっと高いので、(MNOの3社比率と比べると)少なめになるかもしれません。

取材を終えて:マルチキャリアならではのサービスにも期待

 3キャリア目を加えたmineoだが、ソフトバンク回線を提供した理由は、マーケティング的なメッセージの意味合いが強いことが分かった。確かに、今や3キャリアですぐに体感できるほどのエリアの差はなく、特にMVNOの強い都市部ではそれを感じにくい。3Gでは違いのあった通信方式も、今や3社ともLTEで、周波数に違いがある程度だ。SIMロック解除も当たり前にできるようになった今、技術的な理由だけで3社目の回線を提供する意味は薄れている。

 総務省が音頭を取って始めたSIMロック解除だが、単に始めるだけではなかなか一般にまで普及しないのが現実だ。SIMロック自体を禁止するといった抜本的な対策が打たれない限り、ユーザーの認識が大きく変わることはないのかもしれない。その意味で、mineoは“ユーザーの実態”をよく把握しているともいえる。

 ただ、それがどことなく“壮大な技術とリソースの無駄使い”に思えるのは、筆者だけではないはずだ。せっかく3キャリアの回線を提供できているのであれば、mineoには次のステップに進んでほしいと感じた。ドコモ以外が加入者管理機能(HSS/HLR)を開放した事例がないためハードルは高いが、3社の回線を束ねるなど、マルチキャリアMVNOらしい構想も打ち出してほしかった。今後の展開にも期待したいところだ。

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