インタビュー
» 2018年08月30日 15時22分 公開

MVNOに聞く:mineoの“ソフトバンク回線”に市場は存在するのか? ケイ・オプティコム上田氏に聞く (2/3)

[石野純也,ITmedia]

ソフトバンク回線のSIMカードは「14種類」

―― ここからは、もう少し細かなお話を伺っていこうと思います。料金ですが、ドコモ回線やau回線よりも若干割高になっています。この理由をお聞かせください。

mineo SプランはDプランやAプランに比べてやや高い

上田氏 ソフトバンク回線を幅広い方に使っていただこうとすると、どうしてもSIMカードの種類が増えてしまうというのが理由の1つです。音声あり、音声なしがあり、かつOSごとに種類が違ったり、同じiOSの中でも新しいiPhoneと古いiPhoneでSIMカードが分かれていたりで、これらを全て対象にすると、どうしてもSIMカードの種類が増えてしまいます。

―― 確かにソフトバンクの場合、1枚のSIMカードで全ての端末をというわけにはいかないのがネックですね。全部でどのくらいあるのでしょうか。

上田氏 合計すると14種類ほどになります。

―― それは多い(笑)。

上田氏 その14種類をラインアップとして用意し、業務フローに落とし込んでいくと、どうしても複雑性が伴います。店舗運営や倉庫の業務コストも上がってしまうので、そのあたりを価格に反映せざるを得なかったというのが実情です。

 もう1つ、音声通話の料金が高いのは、ソフトバンクの卸料金が他の2社に比べて高めだからです。

―― データ通信の接続料は関係ないのでしょうか。

上田氏 一部それもありつつも、大きなところはSIMの種類や音声の卸料金です。確かに検討当初は接続料もかなり高かったのですが、最近はかなり下がってauとほぼ同じぐらいになっています。

―― SIMが全部で14種類になるというお話がありましたが、同じ基準でカウントすると、ドコモやauは何種類になるのでしょうか。

上田氏 どちらも数種類ですね。ドコモのSIMカードは今、標準、micro、nanoとサイズごとに分かれていますが、もう少しすると、マルチタイプに切り替えられるので、物理的なSIMカードはどんどん少なくなる方向にあります。

―― そこは、ソフトバンクにも何とかしてほしいところですね。

上田氏 先行してソフトバンク回線を提供している事業者では、iPhone専用にしたり、古い機種では使えないようにしたりと、サービスの範囲を狭めているところもあります。mineoはご提供できるものは全てご提供したかったので、この数になってしまったというのはあります。

―― それだけの数があると、ユーザーはきちんと選べるのでしょうか。

上田氏 今どの端末を使っているかを選択すると、「あなたに合ったSIMカードはこれです」と伝える導線にしようと考えています。そうしないと、さすがに複雑すぎるので、間違って買ってしまう恐れもありますからね。au回線も、今はVoLTE対応とそうではないSIMカードの両方を提供していますが、やはりたまに間違って買ってしまう方がいますからね。

―― その比ではない種類の多さになるので、やはり大変そうです。そうなってくると、ソフトバンク端末を持っていないユーザーには、あえてあまりお勧めしていかないのでしょうか。

上田氏 今ソフトバンクのユーザーで、生活圏で電波が入ることが分かっている方は、あえてソフトバンクを選ぶということはあると思います。キャリアを変えると、思わぬところで電波が入らなくなることもありますからね。ですから、基本的にはフラットにお勧めしていこうと思います。どれでもいいとなると、(Sプランは)高いので敬遠されてしまうかもしれませんが、端末そのままで来られる方にはいい選択肢だと思います。

―― 逆に端末のセット販売はあまり考えてないのでしょうか。

上田氏 Sプランに対応する端末は増やしています。どうしてもドコモ回線対応が一番多くなってしまいますが、技術的な検証はできるだけやり、その結果をきちんと公表することで、たくさんの端末から選んでいただけるようにしていく方針です。

リテラシーの高いユーザーに寄っているのが課題

―― LINEモバイルはソフトバンク回線に“速度”という売りを作りました。mineoはいかがでしょうか。

上田氏 設計は(他の回線と)一緒にしようと思っています。結果として1人あたりに割り当てられる帯域は、同じぐらいになるようにしていきます。もちろん、サービス開始当初はユーザーが少ないため、速度は速くなると思いますが、長い目で見ると同じぐらいに落ち着いていくことになります。

―― mineoは、SIMカードのみで契約するユーザーの比率が非常に高いことに驚きました。これはなぜでしょうか。

上田氏 今だと、SIMカード単体で契約するユーザーが8割5分ぐらいですね。それはわれわれがメッセージとして「端末そのままで」と言っているがゆえにそうなっているところがあると思います。端末あり、なしを選べるところが好まれているということもあり、セット販売の割合は低くなっています。

 逆にサブブランドのように、端末とSIMカードのセットをドーンと前に出していけば比率は高くなるでしょうし、MVNOの中でも端末を安く売ることをフックにしているところももう少し高くなると思います。

―― そうなると、ちょっとユーザー層に偏りはありそうですね。

上田氏 ライトユーザーも徐々に増えてはいますが、どうしてもリテラシーの高い方に寄っているところはあると思います。よく分からない状態で店舗に来てそのまま契約するということもあるにはありますが、どちらかといえば、メリットもデメリットもお分かりになって入ってくるパターンが多いですね。

―― コミュニティーを運営していく上では、その方が楽ということもあると思います。

上田氏 一方で、リテラシーが高い方に偏ると、どうしてもトラフィックカーブが似てきてしまいます。そういう意味では、多様な方に入っていただくための努力を、もう少ししなければなりません。ジュニアも主婦の方も法人ユーザーもそうですが、普通の男性サラリーマンのようなトラフィックカーブではない形を増やしていかなければならないのは、われわれの課題です。

―― どうやれば増やせそうでしょうか。

上田氏 やはりジュニアやシニアの場合、ある程度パッケージ化したもので「これがオススメ」というメニューを作る必要があると思います。選べるといっても、その選び方が分からない層もいます。端末はこれで、ソフトウェア的にボタンが大きくでき、セキュリティ的にも安全で、導入するならこのぐらいの値段になりますといったメッセージは、もっと出していかなければなりません。

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