インタビュー
» 2018年08月30日 15時22分 公開

MVNOに聞く:mineoの“ソフトバンク回線”に市場は存在するのか? ケイ・オプティコム上田氏に聞く (1/3)

ケイ・オプティコムが、ソフトバンク回線を使った「Sプラン」を提供。ドコモ回線とau回線を合わせて、3キャリアの回線を扱うことになる。Sプランではどんなユーザーを想定しているのか。MVNO事業を率いる上田晃穂氏に聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 ケイ・オプティコムの展開するmineoが、9月4日からソフトバンク回線を使った「Sプラン」を開始する。サービス開始当初から利用していたau回線の「Aプラン」や、その後にラインアップに加えたドコモ回線の「Dプラン」と合わせて、mineoが回線を借りるのはこれで3社目。大手キャリアと直接相互接続をしているMVNOとして、3キャリアのサービスを同時に提供するのは初の試みだ。

 3キャリア目の回線が加わったことを記念して、mineoでは大々的なキャンペーンも展開。期間限定ながら月額333円と料金を大幅に割引き、新規契約者の獲得を目指す。ケイ・オプティコム以外ではソフトバンク傘下になったLINEモバイルはもちろん、日本通信やソニーネットワークコミュニケーションズなどがソフトバンク回線を借りたサービスを展開しており、ユーザーの選択肢は徐々に増えてきた格好だ。

mineo ソフトバンク回線のサービスを始めるmineo。基本料金を割り引くキャンペーンも実施する

 その分、mineoにとっては競合が増えていることにもなる。ソフトバンク回線といっても、ドコモ回線やau回線より極端にエリアが広かったり、速度が速かったりするような特徴があるわけではないため、自社内の他サービスとの差別化も必要になる。このような状況の中、mineoの勝算はどこにあるのか。ケイ・オプティコムでMVNO事業を率いる上田晃穂氏にお話を聞いた。

「SIMロック解除」という言葉自体が通じにくい

―― 最初に、ソフトバンク回線のサービスを提供すると決めた経緯をお聞かせください。

上田氏 検討自体は、1年ぐらい前から始めていました。それまでもマルチキャリアMVNOとして、auとドコモ回線でやってきましたが、100万というお客さまの数が見えてきたところで、もっとたくさんの方に使っていただきたいという思いもありました。トリプルキャリアになることで、今までのスマホをそのまま使いたい方がより選びやすくなります。

mineo ケイ・オプティコムの上田晃穂氏

―― mineoはコミュニティーサイトの「マイネ王」で上がった声を重視していますが、ソフトバンク回線に関しても声が多かったのでしょうか。

上田氏 社内での検討と並行して、アイデアファームの中にも5件ぐらい、Sプランを始めてほしいという声がありました。他にも、オフ会でコアユーザーの方からも、ソフトバンク回線をやらないのかというお話は出ていました。そういうこともあって、一定のニーズはあると思い始めています。

―― 検討の結果、やらないということもあると思いますが、結果としてサービスインに踏み切れた決め手になったのは、やはりMNOとしてのソフトバンクのユーザー数でしょうか。

上田氏 今、ソフトバンクのユーザーは4000万弱いますが、その中でMVNOを検討しているであろう数を想定したとき、やはりSIMロック解除がハードルになっていることがアンケートからも見えてきました。仮に心理的な壁がないとすると、mineoに来る方の比率は、MNOのシェアの比率と同じぐらいになりますが、実際にはソフトバンクからmineoに来る方は少ない。SIMロック解除はできるようになりましたが、やはり技術的にできるということと、本当にやれるということは違うのだと思います。

―― 同じぐらいのコストをかけて、SIMロック解除の仕方を普及させるという手もあったかと思います。

上田氏 確かにどんどんSIMロック解除が増えていく中で、市場がどのくらいの大きさになるのかとはてんびんにかけました。ただ、リテラシーが高くない方に「SIMロック解除」という言葉を出したり、「マイページでこうしたら簡単にできます」と言ったりしても、なかなかその言葉自体が通じにくいというのがありました。

―― 店頭でSIMロック解除までサポートするということもできたかと思います。

上田氏 MNP予約番号の発行も含め、何もしていない状態で来られた方をサポートするというのは、ありだと思いますね。一方で、そこまで積極的に(店舗展開が)できていない中では、「ソフトバンク回線を今お使いの方も、そのままmineoに来ていただける」というストレートなメッセージの方が伝わりやすいというのはありました。

mineo ケイ・オプティコムがSIMロック解除について調査した結果。SIMロックを知らない人は3割、SIMロック解除を面倒に思う人は5割以上に上った

―― なるほど。ソフトバンク回線を提供した理由は、どちらかというと技術的なものではなく、マーケティング的な色合いが濃いということですね。

上田氏 はい。ロジカルに考えると、「SIMロック解除すればいい」となりますし、SIMロック解除できない端末の市場はだんだん減っているため、「なぜ今さら?」と思われるかもしれません。ですが、ユーザーの方には、必ずしも全ての情報がしっかり伝わっているわけではありません。分かりやすいメッセージを出し、心理的なハードルを下げ、mineoを使っていただくにはどうすればいいかを考えました。

―― これは総務省次第、政策次第ということもありますが、最終的には端末にSIMロックをかけること自体が禁止される可能性もあります。そこまでいくと、もくろみが崩れてしまうリスクもあるのではないでしょうか。

上田氏 そういうことはあるかもしれませんが、例えば、われわれがドコモ回線、au回線があると言ったときには、やはり「私には関係ない」と解釈してしまうソフトバンクユーザーの方は一定数います。ソフトバンク回線を始めることで、「あなたにも関係があるんですよ」と伝えたかった面はあります。

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