待ちに待った新iPhoneの発表まであとわずか。スケジュールが例年通りであれば、発表から発売の間には、iOS 12の配信も始まるはずだ。ここでは、iOS 12の特徴を改めて振り返っておきたい。iOS 12の機能確認は全てβ版(Public beta 10)で行っており、iPhone 8とiPhone Xにインストールしてテストしている。なお、β版のスクリーンショットを掲載することは規約上、許可されていないが、本稿ではAppleの許可を得ている点を明記しておきたい。
iOS 12でまず注目しておきたいのは、過去のiPhoneが高速化されている点だ。WWDCでの発表によると、iPhone 6sにインストールした場合、アプリの起動が40%、キーボードの表示が50%、カメラの起動が70%ほど高速化しているという。古いiPhoneでも快適に使えるうえに、iOS 12はいわゆる“切り捨て”がない。つまり、iOS 11がインストールできるiPhoneの全てが動くということだ。具体的には、iPhoneは5s以降が対応する。
残念ながらというか、幸いにというべきか、筆者がiOS 12をインストールしたiPhoneはiPhone 8のため、もともと動作はスムーズだ。iPhone 8、8 Plus、Xは全てCPUが共通で、最新の「A11 Bionic」が搭載されている。そのため、iOS 11とiOS 12では、体感上の速度の違いは分からなかった。また、試しにベンチマークも実施してみたが、この数値も変わっていない。CPUの処理の仕方を最適化しているため、こうした測定での評価には結果が表れにくいようだ。
注目を集めたのは、高速化だけではない。新たに追加された「スクリーンタイム」も、“スマホ依存”を防ぐ機能として発表時には話題を呼んだ。設定でスクリーンタイムをタップすると、どんな種類のアプリを使ったのかがグラフで表示される。例えば、TwitterやFacebookを使うと「SNS」として、メールは「仕事効率化」としてカウントされるといった具合だ。このグラフをタップすると、より具体的な情報を見られる。
他にも、iPhoneを持ち上げた回数や通知が表示され、どのぐらいiPhoneを使っているのかがしっかり可視化される。使い過ぎだと思ったら、少し距離を置くなり、通知を減らすなりしてもいいだろう。自らの意思ではなかなか難しいといったときは、「休止時間」の設定も可能だ。休止時間になると、アイコンが暗くなって砂時計のマークが表示される。もちろん制限を無視することはできるが、一定の歯止めにはなりそうだ。
また、アプリをジャンルごとに使用時間の合計で制限することもできる。この機能を使うと、家庭用テレビゲーム機でおなじみの某名人のように「ゲームは1日1時間」といった制限を加えられる。SNSに四六時中はりついていないよう、自分で1日の時間を決めてもいいかもしれない。ただし、電話やマップなど、いざというときに起動できないと困るアプリもある。こうしたアプリは「常に許可」で例外に設定しておくことが可能だ。
スクリーンタイムは単に自分の使用時間を可視化できるだけでなく、家族の利用時間も見ることができる。Apple IDのファミリー共有で作成した子ども用のアカウントのスクリーンタイムをオンにして、週間レポートを見たり、休止時間やアプリの使用時間を設定したりといった操作が可能だ。子どもが深夜までiPhoneで遊んでしまうのを防ぎたいというようなときに活躍する機能で、家庭でのルール作りにも役立てられるかもしれない。
使い過ぎの原因となるアプリの通知も、簡単に制限できるようになった。通知を左スワイプして「管理」をタップするなどして、「目立たない形で配信」を選ぶと、通知音などが鳴らなくなる。アプリによってはあまり興味のない新着情報を延々と送ってくるものもあるが、こうした通知は音を鳴らないようにしたり、ロック画面に表示されないようにしたりできる。これまでも通知の方法の変更はできたが、届いた通知から直接設定を変更できるのはうれしい改善といえる。
iOS 12では、ARの機能をつかさどる「ARKit」も強化され、「ARKit 2」へと進化している。3Dレンダリングがよりリアルになったり、Pixarと協力して開発したAR用のファイルフォーマットが採用されたりと、開発者向けのアップデートが多く含まれている。複数のユーザーで同じARのオブジェクトを共有しながらゲームなどを楽しめる機能にも対応する。こうした機能を採用したアプリも、iOS 12の登場に伴い配信が始まるはずだ。
一方で、ユーザーの目には直接的かつすぐに見える進化としては、ARKit 2を使ったAppleの純正アプリ「計測」が内蔵される。このアプリは英語では「Measure」と呼ばれるもので、機能は非常にシンプル。iPhoneのカメラに映ったもののサイズを計測するというのが主な機能だ。
試しにiPhone Xのサイズを測ってみたが、カメラを向けると「矩形」と認識され、四角い枠が表示された。そのままタップすると、縦横両方の数値が画面上に出て、サイズが分かった。結果は、横14cm、縦7cmで、センチ単位ではスペック表通り。横が13cmと表示されることもあり、測り方によっては誤差も生じてしまうようだが、正確さはかなりのものだ。
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