まずいつものガスタンクを撮り比べ。
撮ってみると、XSだけより広い範囲で写る。
実は、iPhone XSの広角カメラは従来のデュアルカメラiPhoneのそれと違うのだ。イメージセンサーのサイズがちょっと大きくなり、画角も広くなったのである。
7 PlusとXが35mmフィルム換算で28mm相当だったのに対し、XSは26mm相当になった。しかも、画素数は据え置きでセンサーのサイズが大きくなったことで、階調や高感度時の特性も上がっている。
ガスタンクの写真を良く見比べると、その差がハッキリと出ている部分がある。「暗所」である。
日陰の部分を等倍で見比べてみよう。
良く見ると、暗部のノイズがXSの方が少ないことが分かる。画質が上がってる証拠である。
iPhone XSの望遠カメラは、iPhone Xと同じ仕様。iPhone 7 Plusは35mmフィルム換算で56mm相当、iPhone X/XSは52mm相当だ。
iPhone Xは「2倍ズーム」といいながら「28mm相当」と「52mm相当」だったので、厳密には2倍じゃなかったのだ。それに対して、iPhone XSは「26mm相当」と「52mm相当」なので、ちゃんと“2倍”になっている。清く正しく2倍である。
ということで望遠カメラでも撮り比べ。
iPhone XSはとにかく内部の処理性能が上がったので、それを生かしてカメラもかなり賢くなった。その1つが「HDR(高ダイナミックレンジ)撮影」だ。
iPhone XSでは、HDR撮影を「スマートHDR」と呼んでいる。リアルタイムで賢くHDRがかかるようになったからだ。
iPhone XSのスマートHDRでは、暗部の処理も良くなった。
今まで、iPhoneのHDRで撮った写真は暗部が妙に暗かったのである。「HDRというのなら、暗部をもっと持ち上げてくれよ!」と思っていたが、しっかり持ち上げてくれるようになったのだ。
その違いは、iPhone 7 Plusから順番に見比べるとよく分かる。神社の社殿の写真で比べてみよう。
少し分かりにくいかもしれないけれど、iPhone XSでは社殿の暗い部分が見えるようになっていると思う。
ついでにいえば、スマートHDRをオンにしておくと、従来より多くのシーンでHDRがかかる。
ここで1つ作例。iPhone XとiPhone XSで神社の入口を撮影してみた。
iPhone Xの方は自動HDRをオンにして撮影したが、HDRにはならず。iPhone XSの方はスマートHDRが有効となりHDR撮影となった。
逆光で人を撮ったときに「顔が影になって表情がよく分からない」ってことがなくなった……というほどではないけれど、かなり改善されている。
これもiPhone XとiPhone XSで撮り比べると良く分かる。
iPhone Xは、顔を見つけたのに背景に露出が合ってしまい、顔が暗くなってしまった。それに対し、iPhone XSは、背景を生かしつつ、顔を明るくしようと頑張っているのが分かる。
「顔を見つけたのなら“顔をちゃんと明るく撮る”ように調整すべきじゃない?」とか「顔を撮りたいってことだから、顔が暗くつぶれてしまったら問題じゃない?」とか思ってた人はいっぱいいるはず。
iPhone XSではそれがかなりマシになった。
個人的には背景をトバしてでも顔をもうちょっと明るくして良いと思うのだけどね。背景を生かしたまま顔を明るくすると全体に不自然なトーンになっちゃうから。顔を明るくして背景をトバした絵と両方残して、後で選べるようにするのもありだと思う。
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