「5Gに対応させただけ」では物足りない 新たな提案も必要な5Gスマホ:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2019年03月10日 08時19分 公開
[石野純也,ITmedia]

 2月25日から28日に渡り、スペイン・バルセロナで「MWC19 Barcelona」が開催された。同イベントはもともと「GSM World Congress」だったが、3Gの開始に合わせて「3GSM World Congress」に名称を変更。2008年にはこれをMobile World Congressに改称したが、2019年からは略称としてのMWCが正式名称になっている。通信の世代とともに名称を変更し、徐々に役割を変えてきたMWCだが、2019年のイベントは、まさにそれを象徴するかのように展示内容は「5G」一色だった。

5G 2月25日から28日に渡り、スペイン・バルセロナで「MWC19 Barcelona」が開催された

まさに5G端末のオンパレード、具体像が見えた5Gの展開

 もちろん、5Gに関しては過去にも出展がなかったわけではない。標準化に先駆け、チップベンダーや基地局ベンダーは5Gの実験結果などをアピールしていたため、数年前から5GはMWCでの主要なテーマの1つだった。特に2018年は5G前夜ということもあり、商用化予定の基地局やユースケースの展示が多かった印象も受けた。2019年のMWCがそれと大きく違うのは、実際にコンシューマーが手にできる、発売前提の5Gスマートフォンが出展されたことだ。

5G さまざまなメーカーから5Gスマートフォンが出展された。写真は一番乗りで発表した、OPPOの5Gスマートフォン

 しかも、5Gスマートフォンを手掛けたのは1メーカーだけではない。Samsung、Huawei、LGエレクトロニクス、Xiaomi、OPPO、ZTEなど、Android端末を手掛ける主要メーカー各社がこぞって5G対応のスマートフォンを出展したのだ。Wikoなど、廉価端末が中心のメーカーを除けば、ほぼ全てが何らかの形で5Gスマートフォンを発表、展示していたといっても過言ではない。

5G Samsung Electronicsの「Galaxy S10 5G」
5G Xiaomiは、低価格を売りにした「Mi MiX 3 5G」を出展
5G ZTEの「AXON 10 Pro 5G」。こちらはsub-6対応で、ミリ波のデモは試作機で行っていた

 Huaweiを除く端末にチップセットを供給するQualcommのブースには、各メーカーの5G端末が一堂に会し、会場内に設置された基地局と実際に通信を行い、動画やゲームなどが実機の上で動いていた。同社は「5G is here(5Gはここにある)」というメッセージを打ち出し、ブースの説明員もそれが書かれたTシャツを着用していたが、5Gスマートフォンがズラリと並んだQualcommのブースは、まさにその言葉がウソでないことを証明していた。

5G
5G
5G Qualcommのブースには、5G端末が一堂に会した。通常、技術解説や公開実験を中心にする同社としては異例の展示内容といえる

 一気に登場した5Gスマートフォンだが、これは欧米や中国、韓国など一部アジアの商用展開に合わせたものだ。いずれの端末も、早ければ「数カ月後」に発売される見通しで、LGエレクトロニクスのプレスカンファレンスには米Sprintが、OPPOには豪TelstraやスイスのSwisscomなどの幹部がそれぞれ登壇。それぞれのスマートフォンを導入することが明かされた。残念ながら、日本での商用展開は2020年を待たなければならないが、サービス開始時には、少なくともスマートフォンやWi-Fiルーターは出そろっている形になる。

5G 端末を導入するキャリアも、各社のプレスカンファレンスに駆け付けた。写真はLGエレクトロニクスで、同社にはSprintのCEOがゲストとして登壇した

 いずれのスマートフォンも、4G版とサイズ感が大きく変わらないのが印象的だ。ドコモのプロダクト部長、安部成司氏は「FOMA(3G)を最初に提供したときは、すごく大きかったり、厚かったりしたが、(今の5Gスマートフォンなら)切れ目なく4Gから5Gに移っていける」と、各社の端末を評価する。

 「アンテナ特性もあり、6.7型より小さくするのは難しかった」(Samsung Electronics関係者)とサイズはやや大きいものの、スマートフォンそのものが大型化していることがそれをカバーする。より高精細な映像を見られる5Gでは、むしろ画面が大きい方がいいという考え方もある。

5G 各社の5G端末を評価するドコモの安部氏。ドコモも、5Gは「あくまでモバイルサービスとして提供する」といい、スマートフォンを用意していることを明かした

 ただ、裏を返すと、スマートフォンの形状自体は変わっておらず、単に通信速度が速くなっただけとも受け取られかねない。5Gならではの機能の提案はまだまだ少なく、通信方式だけを何とか5Gに対応させた端末が多かった印象も受ける。ユーザーをスムーズに5Gへ移行させていくためには、“現行モデルそのまま”であることも重要だが、端末を普及させるには、5Gならではの提案も必要になりそうだ。

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