望遠を強化したトリプルカメラのスマートフォン(製品名未定、以下「ズームスマホ」)を開発したOPPOが、当初「ロスレスズーム」と呼んでいた仕組みを「ハイブリッドズーム」と変えた。
これは良いことだと思う。ロスレスズームという造語は分かりづらいし。同じような仕組みをHuaweiもハイブリッドズームと呼んでいるし。
で、その「ハイブリッドズーム」とは何なのか。
これにちゃんとした定義はないが、光学レンズによるものと画質が劣化しないデジタルズームを合わせて「ハイブリッドズーム」、画質の劣化も何のその、ひたすら中央部を拡大してもっと望遠にしてやれってのを「デジタルズーム」と呼んでいるようだ。
P30にしろOPPOのズームスマホにしろ、面白いのはメインカメラである広角カメラと望遠カメラの間に画素数の差がありすぎること。そこで、その間を画質が劣化しないようにうまく埋める必要がある。
広角カメラが1000万画素だとしよう。それを4倍の望遠にしようとすると、中央部の250万画素分の画像を切り出して、それを1000万画素に拡大する処理が必要になる。でもそれをやると露骨に画質が劣化する。
それはそう。250万画素を1000万画素に水増しするのだから。
でも、元のイメージセンサーが4000万画素あれば、中央の4分の1を切り出しても1000万画素ある。それを1000万画素の写真として記録すれば、「画質が劣化する」とはいえない。
OPPOのズームスマホも、メインカメラは「4800万画素」と画素数が多い。そして望遠カメラの画素数はそれほど多くない。広角カメラと望遠カメラの中間を、広角カメラの画素数が多いのを利用してうまく埋めているわけである。
そして、望遠カメラの中央部を切り出してさらにデジタル的に拡大して50倍まで伸ばしたのを「デジタルズーム」と呼んでいるようだ。
カメラの世界で「10倍ズーム」といった場合、ズームレンズの広角側を基準として記述する。だから、ズーム倍率だけを見ても、どのくらいの望遠までいけるかは分からない。
スマートフォンの場合「光学ズームレンズ」を搭載しているわけじゃないからちょっとややこしい。昨今の例だと、HuaweiとOPPO。
Huaweiはメインカメラとして使う「広角カメラ」を基準にしている。だから、P30 Proの望遠カメラは「5x(5倍)」と表現している。「広角カメラは27mmなら5倍したら135mmじゃないか」という話はあるけど、まあキリがいいところで四捨五入したのでしょう。
一方、超広角カメラは「0.6x」としている。
一方、OPPOのズームスマホの10倍ズームカメラは超広角カメラを基準にしている。その考え方だとP30 Proのズームは「8倍」ってことになる。
カメラ用語的に考えると、一番広角側を「1x(等倍)」として計算すべきだけど、メインカメラを1xとして考えた方がユーザーには分かりやすいから、どっちが良いとは一概には言い切れないのである。
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