用語とともに解説 最新スマホのカメラトレンド(2019年春)(4/4 ページ)

» 2019年03月31日 13時00分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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「ペリスコープ構造レンズ」ってどんなもの?

 HuaweiとOPPOは、どちらもトリプルカメラの3つ目に当たる望遠カメラを強化してきた。

 共通点は「ペリスコープ(潜望鏡)」構造のレンズを採用したこと。カメラの世界では「屈曲光学系」と呼ばれている技術である。

 一般に、望遠カメラは焦点距離が伸びる分、レンズも長くなり、奥行きが必要になる。そこでプリズムを使って光を90度曲げることで薄く収められるようにしたのが屈曲光学系。デジタルカメラの世界では2002年にミノルタ(当時)の「DiMAGE X」が初めて採用した。

DiMAGE X 初めて屈曲光学系を採用したミノルタ(当時)の「DiMAGE X」(参考記事

 屈曲光学系を使えば、ズームした際にレンズが飛び出ない。そのため、今でも防水・耐衝撃のタフネスカメラに使われている他、スマホの世界でも2016年、ASUSが「Zenfone Zoom」で屈曲光学系の光学3倍ズームレンズを採用している。

 HuaweiとOPPOは、この構造を光学ズームのためではなく望遠レンズ搭載カメラを薄く作るために採用した。そうしないと、ある程度以上の望遠は難しいのだ。

屈曲光学系 OPPOのズームカメラ説明会では屈曲光学系の望遠カメラについても解説があった

「RYYBセンサー」ってどういうもの?

 最後はP30/P30 Proの発表会で一番衝撃的だったネタ。それは「RYYBセンサー」。

 カメラのイメージセンサーは、光の強さを電気に変える半導体(めちゃ大雑把にいってるので細かい所は突っ込まないでください)。こいつが感じ取るのは“光の強さ”だけなので、そのままではモノクロの画像しか作れない。

 そこで、1つ1つの画素に「カラーフィルター」を付けて、「あなたは赤担当、あなたは青担当」みたいにして、それから得られたデータを元にカラー画像を作り出してるわけだ。

 そのカラーフィルターにどんな色を割り当てるか。今は「原色フィルター」といって、光の三原色である「RGB(赤と緑と青)」を割り当てている。人間の目は緑に対する感度がより良いということで、従来は緑のカラーフィルターを他の2色の2倍用意していた。Huaweiが発表会で従来のセンサーを「RGGB」と言っていたのはそのため。

 でも、Huaweiは緑のフィルターを黄色(Y)のフィルターに置き換えた「RYYBセンサー」を採用したのである。これはびっくり。

 その理由は……緑より黄色の方が光の透過率が高いからだと思う。発表でも「捉える光の量が40%増えた」と言っていたし。

RYYBセンサー 左がポピュラーなカラーフィルターの配列でRGBのうちGが2倍なのでRGGB。右はP30/P30 Proで採用された新型イメージセンサーで、Gの代わりにYを使っている
感度向上 緑色のフィルターを黄色に置き換えたしたことで40%増えた=その分感度が上がった、という話

 でも、最終的にデジタル画像を作るにはRGBの組み合わせにしなきゃいけない。

 かつてデジカメの世界でも「補色系フィルター」といって、RGBの補色である「CMY(シアンとマゼンダとイエロー)」を使ったイメージセンサーが使われたこともあったが(その方が解像度と感度を上げられるため)、結局、色の再現性で原色フィルターに負けた。

 ただ、当時と今ではデジタル画像処理の技術や処理速度が段違いなので、その辺は解決できるのだろう。

 ちょいと専門家に見解を聞いてみたい所だ。

 で、イメージセンサーの感度が上がったことと、デジタル画像処理を組み合わせて超高感度撮影を可能にしました、というのである。


 と、予想以上に長くなってしまったので恐縮だが、HuaweiやOPPOの新端末をネタにスマホカメラで出てくる用語や技術についてまとめてみた。なんかの参考になれば幸い。「余計ややこしくなったわい、どうしてくれる!」となった人、申し訳ない。

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