KDDIは5月13日、3つの新料金プランを発表した。
一般メディアの注目は、菅官房長官の「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」という発言を受けて誕生したプランだと思うが、個人的に興奮してしまったのは、データ容量制限のない「auデータMAXプラン」だ。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2019年5月18日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
こうした「使い放題」なプランは2020年に始まる5Gからと勝手に思い込んでいた。しかし、KDDIは他社を出し抜く形でいち早く使い放題を提供。月額8980円と高額だが、容量制限を気にすることなく、ストレスなくスマホを楽しめるという点においては最強のプランと言えるだろう。
ソフトバンクは「ウルトラギガモンスター+」で月間50GBに加えて特定の動画・SNSサービスは使い放題となるサービスを提供中。しかも、現状はそうした制限はなく、使い放題のサービスをキャンペーンで提供しているだけに、早期に、キャンペーンではなく、通常の料金プランとして「使い放題」を提供してくることになりそうだ。
当然のことながら、料金競争は「後出しジャンケン」のほうが強いため、追随してきたキャリアの料金プランが圧倒的に強い。現状でも、1GBから7GBの従量制と、7GB固定でSNSが使い放題、さらにデータ容量なしの定額制といった3つの新プランを持ってきたKDDIが、全体的に俯瞰してもかなり魅力的に見える。
ただ、一方で、KDDIは新しいプランを3つ用意してきたのにも関わらず、「auフラットプラン20」と「auフラットプラン25 Netflixパック」を残し、全部で5つの料金プランとなってしまった。
新しい3つのプランが、他社対抗上「家族で安くなる仕組み」であるため、単身者にも優しく、他社に比べても安価に見えるプランを残さざるを得なかったのだろう。
ただ、このあたりの思い切りのなさによって、ショップを訪れるユーザーが「わかりにくい」と感じてしまわないか心配だ。一方のNTTドコモは「シンプルな2択」をアピール。ソフトバンクもいまのところ「2択」となっている(ソフトバンクは実質、ウルトラギガモンスター+の1択と言えるが)。
そんななか、KDDIはまさかの「5択」。細かなユーザーニーズを拾い上げ、あらゆる人に料金プランを用意すると、結局、プランが複雑化してわかりにくく選びにくくなるという典型例にも思える。
「auデータMAXプラン」で思い切っただけに、もうちょっと、プランを絞り込むという「思い切りの良さ」があってもよかったかもしれない。
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