現時点では、主要な部品メーカーや、OSを提供するGoogle、さらにはプロセッサのライセンスを提供するArmまでもが取引を停止している状況だ。部品は制裁の影響が及ばない国のものに置き換える手はあるが、プロセッサやOSなどは、事実上の寡占状態になっているため、代替を探すのが難しい状況だ。Huaweiの場合、Qualcomm製のSnapdragonはほとんどの端末で採用されていないため、既存のプロセッサを利用する手はあるが、新規開発ができなくなると、端末の進化が止まってしまう。
Huawei端末に搭載されるプロセッサの「Kirin」は、傘下のHiSiliconが設計しているが、QualcommのSnapdragonやAppleのAシリーズと同様、Armのライセンスに基づいて開発されたものだ新端末の開発が不可能になれば、日本メーカーの悪影響も避けられない。他メーカー同様だが、特にハイエンドモデルになればなるほど、日本製のパーツは多くなる。Huaweiは、コアサプライヤーとして、ソニー、富士通、三菱電機、パナソニックなど11社の名前を挙げており、カメラのセンサーや通信モジュール、電子部品などを調達している。その金額は、2018年実績で7000億円強。新規端末の開発ができなければ、これが消し飛んでしまう恐れもある。
もちろん、これは日本だけの話ではなく、制裁を決めた当の米国をはじめ、影響は世界的に広がっている。呉氏はP30、P30 liteの発表会で、「(米国の制裁は)誰の利益にもならない」としながら、「Huaweiと業務提携している米国の会社にも巨額の損失をもたらし、10万人に及ぶ雇用や、グローバルのサプライチェーンの相互の信頼を破壊する」と語っていたが、株価などには、既に影響が出始めている。Huaweiはスマートフォンの進化をけん引してきた1社なだけに、早急な解決を期待したいところだ。
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