NTTドコモは、AGCとエリクソン・ジャパンとともに、28GHz帯での電波を送受信できる「ガラス一体型5Gアンテナ」の5G通信に成功した。LTE対応のガラスアンテナは発表済みだが、ガラスアンテナで5G通信に成功したのは世界初(ドコモ調べ)。
今回のガラスアンテナは、5Gのエリア構築をよりスムーズに進めるために開発したもの。5Gで利用する28GHz帯の周波数はLTEよりも直進性が強く、屋内で電波が弱まる傾向がある。そこで電波が弱まる前にガラスに備え付けたアンテナが電波を中継することで、安定した5G通信が可能になるとしている。
車や建物の窓ガラスに搭載し、基地局の設置が困難な場所や一時的な5Gの需要があるようなシーンでの活用を想定している。
ガラスアンテナは透明性が高く、サイズは数ミリ四方と小さいため、車の視野を遮ったり、建物の景観を損なったりしないこともメリットだ。
ドコモはガラスアンテナを搭載した車両で実証実験を実施。時速約30kmで走行中の実験用車両の窓ガラスにアンテナを貼り付けて通信したところ、商用サービス提供時に使用する400MHzの帯域幅で「下り最大3.8Gbps」、基地局から半径約100mのエリアで「平均1.3Gbps」の通信に成功した。さらに、実験装置で送受信できる最大帯域幅の800MHz幅では「下り最大7.5Gbps」、基地局から半径約100mのエリアで「平均2.5Gbps」のデータ通信に成功した。
ガラスアンテナは28GHz帯以外の帯域もサポートしており、複数帯域のアンテナを搭載することもできるそうだ。また、ガラスアンテナを複数束ねてさらに高速化を図るMassive MIMO対応も進める。実験段階では測定車にアンテナを搭載しているが、今後は自動車メーカーとも交渉し、一般車に搭載することも視野に入れている。
このガラス一体型5Gアンテナは、5月29日から31日まで東京ビッグサイトで開催されている「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2019」内に設置されている「5G Tokyo Bay Summit 2019」で展示している。
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