6月11日に開催された有識者会議では、2年契約の違約金や、2年契約のあり、なしによる料金の差も議論されたという。総務省案が違約金の上限を1000円としたことが話題となった一方で、金額の根拠がアンケートに基づいたもので、省令にする根拠が弱いとして、有識者からは批判の声も挙がったという。KDDIは1カ月程度のARPUを、ソフトバンクは2年契約なしの月額料金相当を負担する水準など、複数の案を提案した格好だが、それらを大幅に下回る金額が提案された。
KDDIやソフトバンクが契約解除料について言及したのに対し、ドコモは具体的な額を提示していない。逆に、「そういう方向感でやっていくことには、賛同している」といい、スタンスが分かれている。総務省案の1000円という金額については、「理屈や根拠がどう出てくるかを確認したい」と前置きしながら、「そこにどういうメッセージがあるのかは、よく考えなければいけない」と続ける。
「2年契約で9500円の解除料というのは、(ユーザーから)非常に不評で、有識者の中には、これ自体をなくした方がいいという方もいます。上限が1000円に下がったから1000円にするというより、トータルでどうするかを考えなければいけない。競争の中、しかも分離プランベースの中で、選ばれなければなりませんから」
田畑氏の言葉からは、2年契約そのものの撤廃も含め、検討している様子がうかがえる。端末に対する高額な補助が徹底的にふさがれれば、MNPでの流動率は低下する。そのため、2年契約がなくなっても、極端に解約率は上がらないため、不評をかってまで縛りを残しておく必要はないということだろう。田畑氏は「今までと違い、2年契約だけがいかんという議論ではない。楽天など、後から入ってくるところは、縛りを設けないと言っている。お客さまから見て、フレンドリーかどうかというイメージの問題もある」と語る。
とはいえ、新規契約者だけが2年契約なしになると、このバランスが崩れてしまう。端末の割引が禁止されれば、市場の流動性が落ち、競争が進まなくなるだけだ。そのため、ドコモは解除料ではなく、「既往契約」(既にユーザーと結んでいる契約)にも一律で適用できるかどうかに着目しているという。「解除料の金額うんぬんよりも、一律対応が必要」というのがドコモの考えだ。田畑氏は「既往契約の縛りが残ってくる可能性もありますが、一律で切り替わらないと分かりづらい上に、公正競争促進の観点からは問題になります」とくぎを刺す。
ドコモは前のめりの姿勢を示しているが、既往契約への適用には、KDDIやソフトバンクが懸念や反対意見を表明しており、思惑通りになるとは限らない。総務省案でも一律適用までは踏み込まれていない印象を受けた。この点が、6月18日に開催される有識者会議でどう整理されるのかに注目しておきたい。
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