「解約金値下げ」と「端末割引の制限」、キャリアはどう考える? ドコモ料金制度室長に聞く石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2019年06月15日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

「スマホおかえしプログラム」と3万円補助の関係性とは?

 ドコモは、分離プランの開始に合わせ、「スマホおかえしプログラム」を導入した。同プログラムは、ハイエンドモデルに適用されるもので、端末の“返却”を条件に、36回の分割払いのうち12回分の支払いを免除するものだ。機種変更や回線契約などの縛りはなく、単に端末を返すだけでいいというのが、他社のアップグレードプログラムとの違いといえる。

ドコモ 分離プランと同時に開始した「スマホおかえしプログラム」

 では、スマホおかえしプログラムは、ドコモの提案した3万円の補助には当たらないのか。田畑氏によると、これは「今後の議論による」という。「3分の1や2分の1を免除する仕組みは既にあり、端末そのものの中古引き取り価格を上回る分は補助にあたるという考え方がある」といい、省令の中身によっては、免除される金額の一部が端末購入補助に見なされる可能性もあるようだ。一方で、「2分の1だと額が結構大きいが、3分の1ぐらいでやることは適当ではないか」と、同プログラムに対する自信ものぞかせる。

ドコモ 条件を絞ったことで、ドコモはユーザーに対する縛りになっていないことを強調する

 仮に割引の金額が明記され、ドコモ案の通り3万円になったとすると、「(中古引き取り価格との)差分が補助になるのであれば、3万円の中に入れる」考えだ。また、夏モデルでは、粗利を削ったことで、同等の機種で、他社より安い価格を実現できた。「Xperia 1」のように、ソフトバンクと比べ、3万円程度安い端末もあるが、この差は割引には当たらないという考えだ。むしろ、「いいものをより安く、という競争軸になってくるのではないか」と、本体価格での競争が進んでいく可能性もあるという。

 他社のアップグレードプログラムは、同一プログラムへの再契約条項は撤廃されたものの、利用に機種変更が必要になる。この点は、分離プランを義務付けた改正電気通信事業法で問題視される恐れがある。4年間という長期に渡る割賦を組むことへの批判も根強く、ドコモ以外の2社は見直しを余儀なくされるだろう。結果として、端末の見かけ上の価格が上がる恐れもある。今後は、他社もドコモのように粗利を削るなどして、本体価格を抑える努力が必要になるかもしれない。

ドコモ スマホおかえしプログラムで免除される金額は他社より少ないが、その差分を「粗利の努力」で埋め合わせた格好だ。本体価格が他社より3万円程度安い機種も

 ただ、6月11日の有識者会議では、総務省から2万円までという条件が提示され、ドコモを含めたキャリアの主張する水準とは、まだ開きがある。どちらにせよ、歯止めがかかることは確かだが、あまりに制限が厳しすぎると、端末の売れ行きにも影響が出る。代理店の価格設定にも制約がかかり、販売方法の選択が狭まることになりかねない。省令制定までに、このギャップが埋まるかは未知数だ。

ドコモ 総務省案の割引上限は2万円と、ドコモの案より厳しいものになった

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