端末割引を制限する意図は? Huaweiとの取引は? ドコモ株主総会の質疑応答(2/3 ページ)

» 2019年06月18日 22時17分 公開
[井上晃ITmedia]

解約金の値下げにどう対応する?

 質疑応答では、多種多様な質問が株主から挙がった。その中から読者の皆さんに興味を持ってもらえそうな内容を紹介したい。

―― 昨今、政府の方針として違約金を1000円に値下げするという報道がある。乗り換えが増えるのではないかという話もあるが、どういった対策をするのか?

NTTドコモ 丸山誠治氏

丸山誠治取締役 今回このような形で回線と契約を分離し、あるいは過度な囲い込みを禁止するということで政府の中で議論が続いている。今日この時にも総務省のモバイル研究会が開催されており、引き続きこの種の議論がされている。私共はこの種の議論をよく踏まえて考えていきたい。

 ちなみに、今回料金を値下げしたこと自体、このようなことに備えていた。一人一人のお客さまに最適な料金をあらかじめ提案して、それを受け入れていただき、十分お客さまに認識していただいて、(ドコモ回線を)使い続けていただくという趣旨があった。

 また、回線と契約が分離することで、端末の価格は上がることになる。乗り換えが増えるかどうかは、いろいろなバランスの中で決まっていく。

端末割引の行方はどうなる?

―― 今までの有識者会議の議論を見ていると、事業者を縛る内容がやたらと多いと思う。事業展開に支障が出ると強く主張してほしいところだが、「端末値引きは3万円でどうか」とドコモから提案されたという話もある。行政訴訟なり強い対応をすべきでは?

丸山氏 その発言したのは私なので、直接説明をしたい。分離プランに関する事業法が改正されたという前提だが、いくら改正されたとしても、端末と回線はセットで売った方がお客さまの利便性的には好ましい。改正された事業法の中でも、これがセットで売られることは許容されている。そういう前提で、今回問題になっているような解約金等を含めて、お客さまを過度に囲い込む行為がこれまでやられていて、これからも恐らくやられるのではないかと。

 そういう状況を踏まえて、ある程度端末の割引の制限をかけた方が、公平に競争できる。あるいは、お客さまの公平感という意味で、端末のお買い求めになるお客さまとそうでないお客さまの、コストをある程度等しくしていこうとしている。その中で、一律に割引上限をかけた方が、公平ではないかということでご提案申し上げた。

 もちろんご指摘の通り、現行の料金では規制がかかっておらず、自由に競争する領域であると認識している。従って、これからも料金を工夫しながら事業者間で競争していきたい。ただし、一部の高価な端末が0円になるようにしている事業者も、現実にいらっしゃる。そういう現状を考えると、何とか改善するために、事業法改正は必須であると考えているし、ある程度の規制も必要ということで、ご提案させていただいている。

吉澤和弘社長 補足させていただくと、私共は5月末に丸山から3万円でというお話をさせていただいたが、その絶対額についてはどうなるのかと状況を見ている段階。そこの額によってお客さまの購買行動に変化が出てくる可能性は当然ある。ただ、キャリアを変えるとものすごく安く買えて、料金は高止まりのままということではなく、それによる料金競争になっていくということだと思う。そこの動きについてはしっかりと対応していきたい。私共としてもいろんな観点から、総務省や先生方と含めてお話させていただいているところ。

新しい料金プランについて

―― 新しい料金施策について、値下げと言いつつも値上げになるケースもある。どの程度あるのかは把握されているのか。値上げになるケースはない方がよいのではないか?

NTTドコモ 辻上広志氏

辻上広志副社長 今回の新料金プランは、2014年6月に「パケ・ホーダイ/パケあえる」という料金を出してから、5年ぶりの大改訂となる。この間、さまざまなお客さま還元をしてきた。複雑で分かりにくくなったという指摘を受けた。そういうことで、今回、料金プランを思い切ってシンプルにして分かりやすくする。同時により多くのかたにお得になっていただく。こういうコンセプトで見直しを実施した。

 一方で、「docomo with」は、特定の端末を購入していただく代わりに、いわゆる通信料金と端末料金を分離したいわゆる「分離プラン」の先駆け。既にお得な料金を実現していたdocomo withについては、お客さまの利用方法や利用実態によっては、ご指摘の通り、新料金の方が高くなるケースが出てくる。全体でどのくらいになるのかは私共としても把握していない。

 今のプランでずっとお使いいただくことはできるので、新しい料金と従来のdocomo withをうまく使い分けていただき、最適なプランを選んでもらえたらと思っている。

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