世界を変える5G

「日本は5Gで遅れている」という指摘 実際はどう? IDCの予測から考える(2/2 ページ)

» 2019年06月24日 18時00分 公開
[井上翔ITmedia]
前のページへ 1|2       

5Gの普及は米国を除き「五十歩百歩」に

菅原啓氏 5G端末の普及について解説する菅原氏

 冒頭で述べた通り、日本における5Gの動きは鈍いという指摘がある果たしてそれは本当なのだろうか。

 IDC Japanを含め、IDCは世界の主要な国と地域に調査拠点を設けている。各地の拠点のアナリストが「米国」「カナダ」「日本」(以上は国別)「アジア太平洋地域」「西ヨーロッパ地域」に分けて分析した結果、IDCでは2023年時点での5G携帯電話(スマートフォン)の出荷台数シェアは米国で60%超、日本を含む他の国や地域で30%前後になると予測している。

 米国だけ極端にシェアが高いのは、地理的条件などを加味すると、5G基地局の展開が急速に進むと見られているため。エリアがある程度広がれば、端末もある程度は普及するということだ。

 今回の資料には含まれていないが、IDCでは、韓国と中国も予測自体は実施している。2023年時点の5G端末の出荷台数シェアは韓国では30%程度、中国では40%弱と、どちらも米国ほど高くならない見通しを立てている。

 少なくとも、端末の普及面では日本は米国以外の諸外国と大差ないという見立てとなっている。導入の遅れをそこまで気にする必要はなさそうだ。

国・地域別の出荷台数シェア IDCが世界各地の拠点における分析をもとに出した5G携帯電話の出荷台数シェア。米国以外の国・地域では2023年時点で30%前後と大差ない見立てをしている

 5Gではビット当たりの通信コストが4Gよりも下げられる。そのため、データ(パケット)通信容量を無制限、あるいはそれに近い形で提供する通信プランの登場が期待されている(参考記事)。

 日本でもそれは同様だが、IDC Japanでは4G用料金プランをベースに、いくらかの加算をしたプランとなると予測している。先行する米国や韓国と同様のプラン設計だが、この「加算」をなるべく少なくできれば5Gの普及速度が速まる可能性がある

 端末について、IDC Japanはハイエンド端末から5G対応が始まると予想している。これは4Gと同様の展開だが、5G端末の平均価格は現行の4Gスマホよりもさらに高くなる見通しだという。具体的な金額にこそ触れなかったものの、「5Gスマホをいち早く買いたければ、今から貯金を始めた方が良い」とも分析している。端末の価格をいかに抑えるかという点も普及に向けた課題になりそうだ。

 ただし、5Gの普及のカギを握るのは「5Gならではの使い方」を提案することにある。先述の通り、5Gが本領を発揮するのは早くても2020年代半ば以降。キャリアやサービス提供者は、「5Gならこんなこともできますよ」というビジョンを示しつつ、その実現に向けた課題を解決していくことが求められそうだ。

コンシューマー市場の展望 デバイスが登場し、サービスが普及し、サービスを統合したソリューションが登場する。5Gに過度な期待はせずに、そのメリットを生かすサービスや技術の開発をしていくことが重要
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年05月19日 更新
  1. なぜ? マクドナルド「巨大セルフ注文端末」に批判殺到の理由 UI/UXに価格表示まで……直面している課題とは (2026年05月14日)
  2. ソニー、炎上した「Xperia 1 VIII」のAIカメラ機能で“火消し“ 「4つの選択肢」を強調 (2026年05月18日)
  3. 【ワークマン】1500円の「ベーシックアンカーボディバッグ」 二気室構造で必需品がまとまる (2026年05月16日)
  4. 「Xperia 1 VIII」のAIカメラ機能が炎上したワケ 「画質劣化ではなく選択肢の1つ」とソニーは説明 (2026年05月15日)
  5. 楽天モバイルが「Rakuten WiFi Pocket 5G」の販売を再開 “Rakuten Link非対応”の表示見直しが完了【訂正】 (2026年05月16日)
  6. PayPay、5月以降の自治体キャンペーン発表 杉並区や相模原市で最大20%還元 (2026年04月27日)
  7. 「お疲れさまです」はいらない? ビジネスチャットで“嫌われる“かもしれない振る舞い7選 (2026年05月17日)
  8. なぜ? ソニーが語る「Xperia 1 VIII」大幅値上げの理由 約24万〜30万円の価格は受け入れられるのか (2026年05月16日)
  9. 楽天、MNO本格参入後に初の黒字化 三木谷会長「KDDIローミング終了」と「値上げ」は明言避ける (2026年05月15日)
  10. 「Xperia 1 VIII」は先代の「Xperia 1 VII」から何が進化した? デザインからカメラ、オーディオまで実機で解説 (2026年05月15日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年