2019年度は減収減益スタートのドコモ 新料金プランは順調? 解約金1000円の影響は?石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)

» 2019年07月27日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 NTTドコモは7月26日に、2019年度第1四半期の決算を発表した。端末価格と通信料金が分離し、料金そのものを最大で4割程度値下げした「ギガホ」「ギガライト」の影響を受け、決算は前年同期比で減収減益。新料金プランへの移行は今後、本格化する見通しで、減収幅も拡大する。6月だけが対象になる第1四半期は、あくまで前哨戦といったところだ。では、新料金プランでドコモの業績や販売動向などにどのような影響があったのか。第1四半期の決算から、その中身を読み解いていきたい。

ドコモ 第1四半期の決算を発表したドコモ。吉澤和弘社長が、その中身を語った

減収減益でスタートした、2019年度の第1四半期

 ドコモの第1四半期決算は、営業収益が1兆1593億円、営業利益が2787億円。前年同期の営業収益が1兆1767億円、営業利益が3099億円だったため、第1四半期は減収減益と、厳しい結果になった。セグメント別に見ると、やはり通信料収入の落ち込みが大きい。それを、非通信分野のスマートライフ領域で緩和する形が明確になった。通信事業に絞ると、営業収益は9451億円、営業利益は2312億円で、それぞれ184億円、354億円の減収減益になっている。

ドコモ 第1四半期は、減収減益に終わった
ドコモ セグメント別に見ると、通信事業のみ減収減益になっていることが分かる

 一方で、新料金プランは2019年6月に導入されたこともあり、第1四半期の決算に与えた影響は限定的だ。ドコモの吉澤和弘社長も「新料金プランの影響は当然出ているが、大きいのは昨年(2018年)、一昨年(2017年)に導入したdocomo withやシンプルプラン」と語る。「そういった還元が、フルで効いてきている」という。

ドコモ 新料金プランだけでなく、現状ではdocomo withやシンプルプランの影響が大きく、ARPUも減少している

 新料金プランは月々サポートが付かない分離プランのため、移行もある程度緩やかに進むことが想定される。「値下げの影響はじわじわと大きくなってくる」(同)というわけだ。ドコモは、2019年度分の顧客還元額として2000億円を想定。「シンプルプランやdocomo withの影響も全て足し、月々サポートがなくなる分で打ち消すと、プラスマイナス合わせて2000億円いくと見ている」(同)という。

 ドコモは、業績の早期回復を目指す。顧客基盤を生かしてユーザーの流出を抑えつつ、スマートライフ領域を強化するのと同時に、コスト効率化を図るという。実際、スマートライフ領域は好調で、セグメント別に見ると、営業収益が2208億円に対し、営業利益は475億円で、前年同期比で増収増益。全体の20%を占めるという金融・決済サービスは、取扱高が1兆1300億円に成長しており、ついに1兆円を超えた。コスト効率化も、2019年度は1300億円を予想。マーケティングやネットワーク、研究開発など、幅広い分野が対象になる。

ドコモ
ドコモ スマートライフ領域は順調に拡大。金融・決済サービスも四半期の取扱高が1兆円を突破した

新料金プランへの移行はほぼ想定通り、年度内には1700万契約に

 6月1日にスタートした新料金プランの「ギガホ」「ギガライト」だが、移行はほぼ計画通りに推移しているという。7月23日時点での申し込み件数は375万にのぼり、30GBのギガホについては「加入率が3割弱」(吉澤氏)といった状況だ。ギガホ、ギガライトともに、家族3人で契約すると1000円の割引を受けられる「みんなドコモ割」を用意しているが、この適用率も「85%を占める」(同)という。

 ドコモのみんなドコモ割は、家族といいながらも適用範囲が広く、3親等以内が対象になる。同居などの条件はなく、割引を組む相手が新料金プランに移行している必要もないため、加入率は非常に高い。もともと、ドコモのユーザーは3人以上でファミリー割引を組んでいる割合が7割程度、2人以上まで含めた場合、8割台にのぼっていたが、適用率の85%という数値からは、こうしたユーザーがそのまま新料金プランに移行していることがうかがえる。

ドコモ ギガホとギガライトの申し込み件数は375万に達した。みんなドコモ割の適用率も約85%にのぼる

 2014年に導入した旧料金プランの「カケホーダイ&パケあえる」に比べ、移行は緩やかだが、ギガホとギガライトは分離プランのため、月々サポートが残った状態で料金プランを変更すると、支払額がかえって割高になってしまうこともある。新料金プランへの移行は2年間で徐々に進んでいくことが予想され、ドコモでは2019年度に1700万加入を想定する。

 分離プラン導入の影響は、選択される端末にも及んだ。吉澤氏によると、「第1四半期を見たとき、昨年と比べ、ミドルレンジのスタンダード端末の比率が増えている」という。ハイエンドモデルの負担感を軽減する、「スマホおかえしプログラム」も用意したが、やはり端末にコストパフォーマンスを求めるトレンドは、拡大しているようだ。

ドコモ 端末はミドルレンジの割合が増加。夏モデルは粗利を削っていることもあり、販売関連収入も減少した

 ただし、これは必ずしも新料金プランだけの影響ではない。新料金プランが導入される5月には、駆け込みで「docomo withの加入が増えた」(同)という。「docomo withの1500円引きの方が、新料金プランより少し安くなることも一部であった」といい、こうしたユーザーがdocomo with端末を購入した結果、ミドルレンジモデルの比率が上がった格好だ。

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