Huaweiと真っ向勝負のOPPO 「Reno」の投入で“カメラと技術”をアピール山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2019年08月14日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]
OPPO 次々と新しい技術を発表するOPPO

 OPPOのスマートフォンが活発な動きを見せている。世界のスマートフォン出荷台数はここのところ前年比割れが続いており、ガートナーの調査によれば、2019年第1四半期も全年同期に比べて97%の3億7300万台だった。上位5社は1位Samsungと3位Appleが数を落とす一方、2位Huaweiは144%と今期も好調、4位OPPOと5位Vivoは微増だった。数だけを見ればHuaweiが圧勝しているが、OPPOは新しい技術を次々と発表し、2020年以降のスマートフォン市場で大きな存在感を示そうとしている。2019年のこれまでの動きを振り返ってみよう。

OPPO ガートナーの世界のスマートフォン出荷量、2019年第1四半期の結果

5Gスマホをいち早く投入

 日本でも発売された「Reno 10x Zoom」は、ペリスコープカメラを搭載した高倍率ズームレンズが特徴の製品だ。光学5倍、ハイブリッド10倍、デジタル60倍と望遠性能は高く、ここ数年「スマートフォンカメラをけん引するのはHuawei」という市場の動きに風穴を開けようとしている。しかもインカメラも収納式でディスプレイは切り欠きりのない全画面化を実現。そのカメラも扇形に動く特徴的な機構を採用しており、動きを見るだけで魅了されてしまう人もいるだろう。

OPPO 60倍ズームも可能な「Reno 10x Zoom」

 しかも同じスペックのまま5Gに対応した「Reno 5G」も発表、既にスイスの通信事業者から販売されている。Huaweiが米中貿易摩擦に巻き込まれる中で、5Gスマートフォンの投入はOPPOが半歩リードした格好だ。日本でも2019年7月31日から開催された楽天の「Rakuten Optimism」で同モデルを展示し、実際に5Gの電波を拾うデモを披露した。OPPOの技術力を日本でも十分アピールできたのではないだろうか。気が早いが、日本のキャリアが5Gを開始する際、OPPOのスマートフォンを導入する可能性も見えてきた。

OPPO SwisscomとOPPOの5Gローンチイベント(出典:www.opp.com)

ラインアップの主役はRからRenoシリーズに?

 OPPOのスマートフォンはHuaweiとは別の進化を進めながら、新興国を中心に販売数を伸ばしてきた。2018年までのOPPOは「高性能かつ美顔機能を充実させたインカメラ」「Snapdragon 600系を採用し高性能とリーズナブルな価格を実現」「独自開発の『VOOC』急速充電システム」そして「若い世代を狙ったマーケティング」という4つを特徴に製品展開を進めてきた。その中核をなすのが「R」シリーズだった。

OPPO OPPOといえば、若い世代を狙ったマーケティングが多い

 ところが2019年に入ると、Rシリーズは1機種も投入されていない。高性能なアウトカメラ性能を持つ「Reno」を4月に発表すると、OPPOの販売国全てでRenoを訴求する戦略を進めているのだ。Renoはペリスコープカメラ搭載の前述した2モデルに加え、同じ形状のポップアップカメラを搭載しながらペリスコープカメラを省いた「Reno」、そのRenoのインカメラをディスプレイ上部に搭載した「Reno Z」と4モデルが2019年になって登場している。

OPPO Renoは合計4モデルが登場。写真はコーラルオレンジカラーのReno

 また、東南アジアなどの新興国には、Rシリーズのスペックを落としたFシリーズが投入されてきたが、2019年は「F11」「F11 Pro」の2モデルしか発売されていない。Fシリーズは東南アジアではOPPOの顔となるモデルだったが、今や新興国のOPPOのWebページを見ても、最初に目にするのはRenoに置き換わっている。一方、エントリーモデルからミッドレンジクラスをそろえるAシリーズは5機種がコンスタントに登場し、Fシリーズが減った穴を埋めている。

OPPO 東南アジアではFシリーズがOPPOの顔となる製品だった

 このように、2019年のOPPOはグローバルでフラグシップモデルをRenoシリーズに統一し、その下はAシリーズの幅広いモデルでカバーするという製品展開の大きな方向転換を行ったのだ。カラフルできらびやかなボディーの製品が多いというイメージも、Renoの落ち着いたグリーンカラーがOPPOの新しい印象を与えるものになりつつある(OPPOのコーポレートカラーも同系の明るいグリーンだ)。

OPPO RenoはOPPOのこれまでのイメージを大きく変えようとしている

 ミッドハイレンジ中心からハイエンドモデルを頂点とする製品ポートフォリオの転換は、これまでの製品展開ではユーザー層拡大に限界が見えてきたからだろう。HuaweiのPシリーズはスマートフォンのカメラに不満を持っていた層の取り込みに成功し、ハイスペックなMateシリーズはSamsungやAppleには飽き足らない高性能端末を求めるユーザーの心を捉えている。Renoは4つのモデルでHuaweiの2シリーズに対抗できるラインアップをそろえ、「高性能なアウトカメラ」「ハイスペック」「5G」「特徴あるインカメラ」という4つのキーワードでHuaweiに真っ向から対抗しようとしているのだ。

OPPO Renoの投入はブランディングも含め打倒Huaweiを狙う
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