2019年6月26日から28日まで中国・上海で開催された「MWC19上海」は、中国通信市場の最新動向が披露されるイベントであり、2019年は中国の5Gに関連した展示で会場が埋め尽くされていた。中国の3つの通信事業者、China Mobile(中国移動)、China Unicom(中国聯通)、China Telecom(中国電信)は、5G端末や5Gのサービスをブース全体に展示しており、5Gの開始がもはや秒読み段階であることをアピールしていた。
各社の展示の中でも注目すべきは、5Gスマートフォンの数の多さだ。China Mobileは「5G++」のブランドで5Gを展開予定で、周波数帯は2.6GHz(n41)と4.5GHz(n79)を使用、まずは2.6GHzからサービスを開始する。展示されていた端末はいずれも2.6GHzに対応しており、スマートフォンだけでも10機種以上が展示されていた。
日本でおなじみのメーカーでは、Samsung ElectronicsとHuaweiの5Gスマートフォンが展示されていた。いずれもコンスタントに1Gbps弱の速度を出していたので製品の完成度も高いようだ。「Galaxy S10 5G」は3眼アウトカメラや6.7型ディスプレイを採用したGalaxy S10シリーズの最上位モデル。また「Mate 20 X 5G」は既存の「Mate 20 X」に5Gモデムを追加したモデルだ。
ZTEは久しぶりのフラグシップモデル「AXON 10 Pro 5G」をリリース。OPPOは10倍ハイブリッドズームカメラが特徴の「Reno 5G」を商用化しており、これらの端末もブース内に飛ばされていたChina Mobileの5G試験電波を拾っていた。
これらのメーカーは日本でもスマートフォンを販売しており、日本の5G開始時には同等モデルが市販もしくはテスト用として提供されるかもしれない。だが中国の5G開始に合わせて投入されるモデルはこれだけではない。新興系メーカーも5Gへの対応は万全だ。Vivoは「NEX 5G」と「iQOO 5G」の2機種を準備。またハイエンドスマートフォンに特化するOnePlusからも「7 Pro 5G」が登場する。中国のメジャーメーカーのほぼ全てが5Gスマートフォンを展開するのだ。
ところで、5Gスマートフォンは高スペックの製品が多いため、価格も日本円で10万円を超えるモデルばかりだ。しかしハイエンドスマートフォンを低価格で展開しているXiaomiは、2月に開催された「MWC19 Barcelona」に合わせて5Gスマートフォン「Mi MiX 3 5G」を発表し、スイスのキャリアSunriseで発売した。価格は847スイスフラン(約9万3000円)で、5G端末としては比較的安価に抑えられている。中国でも同様に低価格モデルとして期待されている。さらに、China Mobileが自らのブランドで販売する「先行者X1」もSnapdragon 855を搭載しつつ、同程度の価格に抑えられる予定だ。両モデルは5Gスマートフォンの入門機として、4Gユーザーからの乗り換えを促す役割を果たすだろう。
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