オッポジャパンが、最新スマートフォン「Reno 10x Zoom」を7月12日に発売する。収納式の「ピボットライジングカメラ」や、最大10倍のハイブリッドズームに対応したトリプルカメラを搭載した意欲作だ。価格は9万9880円(税別)と、やや高め。SIMフリー市場での売れ筋は2万〜3万円台だが、オッポジャパンはどのような狙いでReno 10x Zoomを日本に投入するのか。7月3日の発表会で、オッポジャパン代表取締役のトウ・ウシン氏と、OPPOグローバルマーケティングディレクターのデレク・ソン氏が語った。
オッポジャパンはこれまで、日本向けにはミッドレンジの「R」と「A」、フラグシップの「Find」という3つのシリーズでスマートフォンを投入してきた。「Reno」は、これらに加わる、新たなシリーズとなる。「創造性」を表すというRenoは「これまでにない発想を生み出すクリエーターのためにある。クリエイティブな可能性を最大限に引き出し、表現することをサポートする」と、デレク氏は話す。
この創造性を最も色濃く体現した機能が「カメラ」だ。遠くの被写体でも画質劣化を抑えて撮影できる10倍のハイブリッドズームはもちろん、自己表現を高める機能も用意した。「ウルトラナイトモード2.0」はノイズ除去技術やHDR技術を組み合わせて暗所を明るく撮影できるようになった。新たなポートレートモードでは、SNSユーザーの撮影傾向を分析し、人気の高い5つのエフェクトを採用した。「ダズルカラーモード」では、被写体のコントラストを強めて鮮やかに表現しつつ、AIエンジンが明るさや色を再構築することで、ノイズを抑えた仕上がりになるという。
海外では10倍ズームに対応しないノーマルの「Reno」も投入しているが、よりスペックの高いReno 10x Zoomを日本向けに選んだのは「クオリティーやテクノロジーを最も代表するデバイスを出したかった」とトウ氏は話す。約10万円と高価だが、ハイエンドモデルを求める一定層には支持されると同氏はみている。
Renoは一見すると、(構造は違うが)リフトアップするカメラを搭載した「Find X」の後継機に思えるが、RenoとFindを置き換えるものではなく、別のシリーズになるという。そのすみ分けについてデレク氏は「Renoはクリエイティビティや個性を重視しており、若者をターゲットにしている。デザインもその発想に基づいている。Find Xはハイエンド機種で、新しい技術を搭載している。ターゲットはどちらかというと、若いビジネスマンに焦点を当てている」と説明する。
ただ、Reno 10x Zoomもカメラや機構面で新しい技術を取り入れており、スペックも現行のOPPOスマホの中では最高級を誇るだけに、Findシリーズとの違いが見えにくい感もある。
一方、OPPOは5G製品の開発にも努めており、最新技術という観点では、OPPO初の5GスマートフォンはFindシリーズになる可能性が高い。トウ氏は「先進国で、キャリアと綿密な協力体制を築いており、5Gプロジェクトも提案している」と話す。端末はスマートフォンにとどまらず、「さまざまなスマート機器やサービスに領域を拡大する」と意欲を見せる。日本での5Gスマホ導入についてトウ氏は「5Gは日本で始まった場合、ブランドや技術力の認知度を高めていきたい。各キャリアが5Gネットワークをいつから稼働するのかを見ながら、現在調整している」という。
OPPOは日本のSIMフリー市場で10%以上のシェアを獲得して4位に躍り出た。「日本の消費者がOPPOを受容してくれることを示している」とトウ氏は手応えを話す一方で、ブランドの認知度はまだ向上の余地が残されている。そのカギを握るのがキャリアだ。「キャリアに採用されれば販売チャネルが広がり、ブランド認知が上がる」と同氏は期待を寄せる。OPPOはキャリアに対しては、新製品を納入することに加え、技術やビジネスに関する提案をすることで、アプローチしていく考えだ。
OPPOのスマートフォンは、auのサブブランドである「UQ mobile」に採用された実績はあるが、キャリアにはまだ採用されておらず、「今後も4大キャリアに提案して、幅広いニーズに応えたい」とトウ氏。4大キャリアの中には、2019年10月にMNOに参入する楽天モバイルも含まれる。楽天モバイルは、「AX7」「R17 Pro」「Find X」が同社のMNO回線に対応することを告知している(関連記事)。トウ氏は「キャリアの発表会で詳細が説明される」と話しており、楽天向けにOPPO新機種が登場する可能性が高い。
トウ氏は、2019年3月の記者説明会で、2019年内にFeliCaと防水に対応したスマートフォンの投入を約束したが、Reno 10x Zoomはいずれも対応していない。この件を問われたトウ氏は、「防水とFeliCaのニーズが高いことは認識しており、ボリュームゾーンの価格帯で出したい」と話す。「ミッドレンジのスマートフォンは2019年の上半期に発表する」とも予告しており、このタイミングで防水とFeliCa対応スマホが登場しそうだ。
米政府の禁輸措置を受けたHuaweiの影響についてトウ氏は「政治的なトピックにはコメントしない。複雑に変化する環境の中で消費者のニーズを理解して、ニーズを満たす製品を出す」と述べるにとどめた。
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