店舗を変えるモバイル決済

多彩な決済手段を提供するSBペイメント 決済手数料を上回るキャッシュレス化のメリットとは?モバイル決済で店舗改革(1/2 ページ)

» 2019年08月22日 06時00分 公開
[小山安博ITmedia]

 SBペイメントサービスは、実店舗、オンラインでの決済サービスを提供する決済代行会社だ。クレジットカード決済やキャリア決済などの多彩な決済手段に対応し、実店舗向けのソリューションとしては4つの端末を提供する。

 キャッシュレス決済対応が急務となっている中小規模の個店にとって、SBペイメントのサービスを導入するメリットはどういったものがあるのか。同社に話を聞いた。

複数決済サービスのQRコードを自動判別

 同社の実店舗向け決済サービスは、ニーズに合わせた幅広い決済手法を導入できることが特徴だ。特にクレジットカードの導入を図りたい場合に、スマートフォンと決済端末だけで対応できる「LP-PCR2.1 BT」は、コンパクトで端末代金も安く、手軽にクレジットカード対応できる。

SBペイメントサービス クレジットカード、電子マネー、コード決済に対応できる、さまざまな決済ソリューションを提供している

 マルチ決済端末の「VEGA3000」はクレジットカード、電子マネー、QRコードに対応した「全部入り」端末だ。コード決済はバーコードリーダーを接続して利用する形になる。

 最も簡単に導入できるのが、コード決済専用アプリをスマートフォンなどにインストールして使う「S!can(スキャン)」だ。アプリ形式の提供に加え、決済端末「SUNMI V1s」にS!canアプリをプリインストールした形での提供も用意されている。SUNMIの場合、プリンタやバッテリーも内蔵しているので、屋外でも一般的な決済に必要な機能が利用できる。

SBペイメントサービス スマホ1台で導入できる「S!can」アプリ

 S!canのメリットは、コード決済の自動判別機能があること。客が提示したQRコードを読み取り、コード情報からどの決済サービスかを判別してそのサービスに決済データを送信する。コード決済は、直接各サービス事業者に登録すると、決済手数料などの面でメリットはあるが、複数のサービスに対応した場合はアプリがそれぞれ異なり、いちいち切り替えて使う必要が出てくる。

 S!can自体はコードの読み取りアプリだが、そこからさらにmPOS(モバイルPOS)などと連携することで、複数のコード決済の売り上げ情報などをまとめて管理できる。

SBペイメントサービス SBペイメントサービスが提供するコード決済ソリューションは、PayPay、LINE Pay、楽天ペイなど、複数サービスのQRコードを自動判別できる

決済単価によってニーズは異なる

SBペイメントサービス SBペイメントサービスの長田直樹氏

 同社の営業本部営業推進部長の長田直樹氏によれば、「中小や個店に近い店だと、まずはクレジットカード対応というニーズが多い」という。大事なのは「決済単価」だ。例えば飲食店でランチの定食ぐらいだとクレジットカードは使わないという客が多く、そうした場合は電子マネーが使われる。逆に居酒屋でグループの決済だとクレジットカードが使われる。

 一般的にクレジットカードは高単価の商品、電子マネーは低単価の商品で使われることが多い。特に電子マネーは、行列ができるような店舗だと効果が高い。コード決済は、各社の還元策によって幅広い単価で利用されているという。いずれにしても店舗の大小ではなく、決済単価でニーズが異なるわけだ。

 さらに長田氏は「決済単価が大きいほどクレジットカード未導入の問題が表面化しやすい」という。1〜2万円のような商品の場合、クレジットカード未対応だと購買機会を逃しやすい。

 単価の問題だけでなく、個人商店の場合、現金管理の面でキャッシュレス決済を導入したいというニーズもあると長田氏は言う。特に客単価が低いような店だと小銭が多くなりがちで、レジ締めや入金などで手間がかかる。決済のスピード感を高めたいという要望や、客の年齢層が若いと現金の感覚が異なるためにキャッシュレス決済が求められる、といったこともある。

安価なコード決済は、大手からの引き合いも多い

 最近のコード決済ブームで、同社にもコード決済導入の要望が寄せられているそうだが、意外にも「要望のメインは大手が多い」(長田氏)という。既にクレジットカードや電子マネーを導入しているような大手が、決済手段を追加することを検討しているようだ。

 ただ、特に地方では現金決済で完結する商圏が出来上がっており、なかなかキャッシュレス化が進展していない状況のため、キャッシュレス化は遅れがちになる。とはいえ、消費税増税などを含めて、キャッシュレス決済が盛り上がっている昨今、クレジットカードは難しいという店舗でも、安価にキャッシュレスを体験できるコード決済は、リスクが低くキャッシュレスに対応できる、と同社も推奨する。

 消費税増税で特に課題となるのが飲食店だ。ポイント還元や軽減税率があるため、持ち帰りに対応する店舗だけでなく、ポイント還元への対応が必要となる。こうした点からも、まずはコード決済に対応して様子を見るという方向性もあり得るだろう。

 クレジットカードを含めて対応したいのであれば、同社のような決済事業者に申請することになる。同社で最も人気なのは「VEGA3000」。クレジットカード、電子マネー、コード決済と全て対応できるので、一度の導入で全てカバーできる点が人気だという。

SBペイメントサービス クレジットカード、電子マネー、コード決済に対応する「VEGA3000」
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