とはいえ、ハイエンドモデルについては、各社がシャープの言うところのエンジョイ層を狙い始めており、競合も多い。ソニーモバイルはドイツ・ベルリンで発表した「Xperia 5」で、21:9のシネマワイドディスプレイがゲームに強いことを訴求。XperiaはAndroid端末で唯一、PlayStation 4のリモートプレイにも対応しており、コントローラーの「DUALSHOCK 4」を接続すれば、さながら携帯用ゲーム機のように遊ぶことができる。
パフォーマンスの高さに定評のあるサムスン電子も、「Galaxy S10/S10+」は、冷却機能やゲームランチャーを軸に、ゲームに最適化したことをアピール。日本発売時には、Galaxy Harajukuや日本各地のGalaxy Studioで、「Galaxy Game Project」を開催し、スマートフォンで人気のゲームタイトルをプレイできるようにした他、eスポーツ大会の「Galaxy Championship」も開催している。
確かに240Hz駆動の有機ELディスプレイや軽さは魅力だが、競合他社のスマートフォンも大々的にゲームの遊びやすさを売りにしているだけに、差別化がどこまで伝わるかは未知数だ。
ミドルレンジモデルの市場も、10月1日以降をにらみ、競争環境が徐々に変化している。ソニーモバイルがミドルレンジモデルの「Xpreia Ace」をMVNO各社や楽天モバイルに拡大したのも、こうした市場の変化に対応した結果といえる。シェアでは押されつつあったソニーモバイルだが、分離プラン後の市場に対応するため、本格的にミドルレンジモデルの市場を開拓することになれば、同じ日本メーカーとして、シャープの強力なライバルになり得る。
Xperia Aceはスペックの割に、価格はやや高めで(約4万円〜5万円)、AQUOS sense3ほどコストパフォーマンスは高くないが、依然としてXperiaのブランド力は高く、シャープとしても油断はできないはずだ。おサイフケータイや防水・防塵(じん)などの日本仕様には未対応ながら、ASUSのZenFoneシリーズも性能に対する価格が安く、SIMフリー市場ではシャープのライバルといえる。
こうした競合と比べても、AQUOS sense3、sense3 plusはバランスのよさで一歩リードしている印象は受けたが、SIMロックフリー端末の比率が増えれば、ユーザーとの接点はさらに強化していくべきだろう。中野氏も「単にものを売るだけでなく、その後のサービス面も強化していくべきだと考えている。メーカーからすると、お客さまがより近くなる」と述べていたが、現状ではこの部分が手薄に見えるのも事実。端末だけでない、サービス面の充実も期待したい。
“何となくハイエンド”は終わり 分離プラン時代に投入する「AQUOS zero2」「AQUOS sense3」の狙い
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