NTTドコモ、渋谷未来デザイン、広島県は11月9日、渋谷スクランブルスクエアとイノベーション・ハブ・ひろしまCampsを5Gで接続し、渋谷区の中学生と広島県の中学生を対象にしたダンスレッスンを行った。
渋谷会場には渋谷区在住もしくは在学の中学生8と指導員1人、広島会場には広島県在学の中学生8人が参加した。
ダンスは2012年から中学校の体育で必須化されたが、特に地方ではダンス指導者の確保が難しいという課題もあり、5Gや映像などの先端技術を活用したレッスンが求められているという。
若い世代に関心の高い内容で地域活性化をめざす広島県と、地域間交流のハブになることを目指す渋谷区の方向性が一致した他、ドコモが考える5Gのユースケースの1つが「5Gを用いた遠隔レッスン」であったことから、遠隔交流ダンスレッスンの実施に至ったという。
実証実験では、5Gを活用した動画のストリーミング配信と、渋谷から広島にいる子どもたちに遠隔でダンス指導を行った。
渋谷と広島の会場の様子は、フルHD解像度の映像が巨大なスクリーンに投影された他、レッスン中に子どもたちが振付けを確認できるよう、スマートフォンやタブレットも用意された。
子どもたちに手渡されたスマートフォンやタブレットには、立体映像をストリーミング配信できる「Free View Point Tube」というアプリがインストールされており、事前に36台のカメラで講師のダンスを360度動画撮影した映像を好きな角度から確認していた。
ダンスレッスンでは、手の振り方や足の動かし方など、1つ1つが丁寧に指導された。1人ずつ順番にウエーブを作る動きもあり、滑らかなウエーブを実現するのに苦戦していた。スクリーンの片方には渋谷の子どもたち、もう一方には広島の様子が映され、まるで同じ場所でダンスをしているかのような演出もあった。
お互いが遠く離れた場所から、滑らかなウエーブを実現するためには、各自の表現力や周りの動きに合わせる工夫も大切だが、スクリーンを使った演出では、5Gによるリアルタイム接続が重要だと感じた。
レッスンは順調と思いきや、会場のスクリーンに投影された映像と音声が若干遅延する場面もあった。ドコモ担当者は、遅延を抑えるためには、5Gだけではなく、エンコーダーとデコーダーの性能も重要だと話していた。仕組みとしては、エンコーダーで映像を圧縮し、5Gアンテナを通じてデータが送られ、デコーダーによって圧縮されたデータを元の品質に戻す。
渋谷の会場には、ドコモで教育ICT推進を務める小林朗氏が登壇した。
5Gは高速かつ大容量で、多数の端末との通信に強みを持つ。小林氏は「ダンスレッスンの他にも、家中のものが5Gにつながることで、複数の家電と連携したソリューションや、スタジアムの様子を遠隔地からマルチアングルで視聴できるソリューションなど、5Gによる影響は多岐にわたる」と述べた。また、今後はさまざまな企業や団体と連携し、幅広い領域での活用をめざす考えを示した。
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