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» 2019年11月18日 22時47分 公開

ヤフーとLINEはなぜ提携したのか? 2トップの川邊氏と出澤氏が語る (1/2)

既報の通り、11月18日に、ヤフーを子会社に持つZホールディングス(ZHD)とLINEが経営統合の基本合意を発表した。統合の背景には、強力な海外勢に対する強い危機感があった。お互いの弱い分野を補うことで、世界をリードする“AIテックカンパニー”を目指す。

[田中聡,ITmedia]

 既報の通り、11月18日に、ヤフーを子会社に持つZホールディングス(ZHD)とLINEが経営統合の基本合意を発表した。同日17時に緊急記者会見を開き、ZHDの川邊健太郎社長と、LINEの出澤剛社長が経営統合の狙いを説明した。

ヤフーとLINEの経営統合 ZHDの川邊健太郎社長とLINEの出澤剛社長

 経営統合の立て付けは、ZHDとLINEが統合会社(ZHD)を設立し、その下にヤフーとLINEを100%子会社の兄弟会社として傘下に収める。両社は「対等の経営統合」であることを強調し、川邊氏は2020年10月を目標とする統合完了に向けて「対等の精神に基づいて相談をしながら進めていきたい」と話す。新たなZHDでは川邊氏が社長、Co-CEOを務め、Co-CEOの出澤氏と共同体制で運営する。

ヤフーとLINEの経営統合 新生ZHD傘下に、ヤフーとLINEを収める
ヤフーとLINEの経営統合 統合後のストラクチャー。ソフトバンクとNAVERがジョイントベンチャーの株式を50%ずつ保有。新生ZHDの株式は、そのジョイントベンチャーが約65%、一般株主が約35%を保有する
ヤフーとLINEの経営統合 今後のスケジュール。2020年1月から各種申請や審査が始まり、2020年10月の経営統合完了を目指す
ヤフーとLINEの経営統合 新生ZHDでは、川邊氏と出澤氏の共同体制を取る

GAFAや中国企業に対する危機感があった

 なぜ2社はタッグを組むことになったのか。そのきっかけとなったのが、ヤフーとLINEは年に1回ほど設けていたという、経営陣による情報交換の会合だった。出澤氏は「川邊さんから毎年、大きいことを一緒にしようとおっしゃっていただいたが、具体化には至らなかった。しかし“思うところ”があり、一緒に進めましょうとなった」と経緯を説明する。川邊氏によると、2018年までは「一緒にやろうというオファーを出しても(出澤氏に)笑って済まされていた」が、2019年からLINE側の反応が変わり、6月ごろから「広い範囲で検討しよう」(出澤氏)と話が進んだという。

ヤフーとLINEの経営統合 経営統合が完了するまでは、ヤフーとLINEはライバル関係を続けていく
ヤフーとLINEの経営統合
ヤフーとLINEの経営統合 ラグビーワールドカップになぞらえ、「最強のOne Team」を目指す

 では、なぜ2019年に風向きが変わったのか。先述した出澤氏の“思うところ”とは、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)や中国企業をはじめとする海外勢力に対する危機感があったという。「ネット産業は国をまたいで働けるので、優秀な人材やお金、データ、全てが強いところに集約してしまう。強いところはもっと強くなり、差がどんどん膨らんでいく。現状、残念ながら、ZHDとLINEが一緒になっても、時価総額、営業利益、研究開発、従業員数で桁違いの差がついている」と出澤氏は危機感を抱く。

ヤフーとLINEの経営統合 北米と中国の巨大企業が脅威に
ヤフーとLINEの経営統合 ZHDとLINEを合わせても、企業規模は海外製に及ばない
ヤフーとLINEの経営統合 日本には、テクノロジーで解決できる課題が多い

お互いが弱い分野を補完し合う

 両社とも、まずは日本で最高のユーザー体験を提供して社会問題の解決につなげ、その後、日本を起点にしてアジアにも進出。最終的には世界をリードする“AIテックカンパニー”を目指すとしている。

ヤフーとLINEの経営統合 会見で繰り返されたスライド。「AIテックカンパニー」がキーワードの1つに

 川邊氏は日本の特性に着目。「日本は、テクノロジーで解決できる課題がたくさんある、課題先進国。日本は人口減の時代を迎えるが、最初に訪れるのが労働人口問題。日本の生産性が落ち、社会の効率性が落ちる。自然災害は、今年(2019年)もいろいろなことがあった。ITは防災に役立てる。例えばヤフー防災アプリと、LINEアカウントの地方自治体を連携させれば、もっと多くの人を救えるようになる」(同氏)

 統合によるシナジーとして大きいのがユーザー基盤だ。月間利用者数はヤフーが6743万人、LINEが8200万人で、ビジネスクライアント数はヤフーが300万社超、LINEが約350万社を数える。

ヤフーとLINEの経営統合 ユーザー基盤が大きなシナジーになる

 2社のサービスを両方使っているユーザーもいるため、単純にユーザーが足し合わせた分だけ増えるわけではないが、それぞれが攻め切れていない分野を補完できるのがメリットとなる。「ヤフーではメッセンジャーのサービスを提供できていないが、LINEはECにそれほど力は入れていない。それぞれの弱いところを補い合える」と川邊氏は期待を寄せる。

 ただし「今あるものの単純な組み合わせでは道半ば」と出澤氏は話し、「真に重要なのは、一緒に作り上げていく、これから始まる新しいサービスが爆発的な大きさで広まっていくかが重要」とした。

ヤフーとLINEの経営統合 LINEが築いてきたグローバル事業も生かす

 両社サービス群の中核に位置付けるのが「AI」だ。「インターネットからAIの時代に移行しつつある時代。全てのデバイスがネットにつながるIoTの時代になる。この領域に、積極的かつ中長期的に投資をしていき、ユーザーに喜んでいただける新しい価値を創出する」と出澤氏は意気込む。

ヤフーとLINEの経営統合 AIに積極投資を行う

 「サービスを新たに作ることはワクワクすることだけど、それと同じくらい気を付けるのがプライバシー保護やサイバーセキュリティの強化だ」と川邊氏。全てのデータは日本の法令に基づいて運用すること、サイバーセキュリティを高めてデータを守ることを強調した。

ヤフーとLINEの経営統合 プライバシー保護とセキュリティ強化にも努める
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