米国のHuawei制裁は「経済にとって有害」、5G基地局からのデータ漏えいは「不可能」(2/2 ページ)

» 2019年11月21日 19時39分 公開
[田中聡ITmedia]
前のページへ 1|2       

Huaweiの輸出許可を2回延期した理由は?

Huawei Huawei渉外・広報本部 本部長のリン・ショウ氏

 リン氏は米国の制裁を受けてから、「Huawei社内の団結力が一気に高まった。これは創業当時にも劣らないほどだ」と話す。Huaweiには、社員がオフィスにマットレスを敷いて昼寝をする「マットレス文化」があるそうだが、米国の制裁後は昼夜を問わず働くことが増えたようで「朝も夜も疲れたときに休むために使っている」という。

 一方、11月18日に米商務省は、Huaweiの輸出を一時的に許可する有効期限を90日間延長した。その理由(の1つ)についてリン氏は「Huaweiの機器を採用している、米国の小規模な通信事業者の利益を守るため」とみる。またHuaweiの輸出許可の延長は2019年8月にも行われており、今回が2回目の延長となる。

 「商務長官は先週末、メディアに対して、Huawei機器の供給を再開してほしいというリクエストを300通受けており、自分の想像を上回るほどだと語っていた。商務省は、4分の1(の米国企業)に対して、輸出を許可したという報道もあった。本当に国家の安全に関わるものなら、米政府が食い止めていたはず。自由貿易はそれほど簡単に分断されるわけではない」(リン氏)

 米国の制裁による経済面での影響について、長井氏は「間接的な効果が大きい」と話す。その影響は日本にも及ぶという。その日本は3キャリアが5G基地局にHuawei製品を採用しない方針だが、日本はどうすべきなのか。

 津上氏は「米国からの要請は、安全保障から立脚している。安全保障と言われると弱いが、経済的には大きなダメージを受ける。ボイコット型の政策が広がったら、電子産業は息の根が止まると思う。ただ、米国に陳情して泣きに行っても聞く耳を持たないだろう。皆で知恵を出していくしかない」と難しい問題であることを話す。一方「米国はブレるし間違うことも多いが、間違ったと気付くと修正力は高いと思う。うまくいかないと気付けば、軌道修正が起きると思う」と期待を寄せた。

 Huawei側も、日本での基地局ビジネスを諦めたわけではない。「日本政府が、通信費を削減する方針を打ち出している中で、同じベンダーの機器を使えば、コストメリットがある」とリン氏は述べる。

 もちろん安ければいいわけではない。「先進国では、25kgの機器は2人以上で運ばないといけないが、基地局をより小さく薄く作れば、1人で作業できる。日本のパートナーとの努力により、Huaweiの基地局は25kg以下を実現した。(作業員を)1人減らせれば、コスト削減になる」と労働力の面でもメリットがあることを話す。この基地局は強度も確保しているそうで、「時速320kmの台風に耐える」(リャン氏)という。災害の多い日本をはじめ、世界各国の自然対策に有用な基地局になると、リン氏とリャン氏は自信を見せていた。

Huawei

データを「漏らしたくても漏らせない」

 「Huaweiは有事の際、中国政府の意向に従わないといけない立場。ここが他国の懸念点なのでは?」という質問に対して、リン氏は丁寧に説明した。まず、そもそもそのような意志がないことを強調する。「Huaweiの年間売り上げは1000億ドルに上る。われわれが、各国の法律に違反すること、ビジネスの常識に外れることをやったら、次の日に破産してしまう。現実問題として、やる必要がない」と同氏。

 日本のサイバーセキュリティ ワーキンググループ委員長の検証によると、「5G基地局では、4Gよりもはるかに厳しい信号の暗号化が図られている」(リン氏)という。「通信のパイプを使っているが、Huaweiが通信のデータを保持しているわけではない」ことから、「漏らしたくても漏らせない」と同氏は訴える。

 「(Huaweiの機器を)批判しているのは政治家であり、技術のエキスパートが機器に問題があるという話を聞いたことがない。いたずらに排除すると、競争がなくなり、かえってサイバーセキュリティの投資に不利益。排除ではなく技術的な検証をすべき。それによって初めて安全かどうかが分かる」(リン氏)

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月21日 更新
  1. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
  2. なぜ「060」携帯番号は18カ月あっても延期になったのか? それでも「慌てる必要はない」現状 (2026年07月20日)
  3. 専用充電器はもう不要? 中韓スマホから国内勢まで巻き込む「USB PPS」急速充電の新常識 (2026年07月14日)
  4. 「Pixel 11」は何が変わる? メモリ減少で100ドル前後の値上げも? 出そろったうわさを整理する (2026年07月19日)
  5. ショップとAIで差別化を図る「ドコモの銀行」――住信SBIネット銀行ユーザーからは戸惑いも (2026年07月19日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. 携帯番号に「060」が採用されるワケ 「電話番号とは何か」を歴史とともに振り返る (2024年10月09日)
  8. iPhoneやApple Watch一斉値上げ 17無印は14万2800円に、17eは10万円超え 加速する中古スマホ特需 (2026年07月18日)
  9. ドコモの「arrows Alpha」、残価変更と割引終了で2年33円→5万9180円に (2026年07月21日)
  10. “特典終了”が続く「d払い」「dポイント」のお得さはどう変わるのか これからは「dカード」の利用が得策? (2026年07月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー