NTTドコモが1月23〜24日に開催している5G関連イベント「DOCOMO Open House 2020」では、幅広いパートナー企業と「協創」したさまざまな取り組みが紹介されている。ドコモが考えている5G時代の新しいビジネスやサービスの中から、ほんの一部だが紹介しよう。
ビルの入り口などに常駐している警備員業務の一部を、バーチャル警備員が提供するシステムの試作機が展示されている。セコム、AGC、DeNA、ドコモで開発している。
バーチャル警備員は大きなミラーディスプレイに表示され、ディスプレイ内に配置された複数のセンサーでさまざまな情報を取得。情報は5Gを使ってリアルタイムに遠隔監視センターや防災センターと送受信され、緊急時は施設内の警備員が対応する。防犯カメラより親しみやすく、簡単な施設案内なども可能だ。
バーチャル警備員は、音声認識技術により訪問者に声をかけられると反応し、プロの声優の声を機械学習した音声で受け答えするが、対応できない質問は遠隔監視センターや防災センターに引き継がれる。その際、センターの担当者が発した音声を、リアルタイムにキャラクターの声に変換して返答するという。人を顔や社員証で判別し、情報のある人には「お疲れさまです」、初めての人には「いらっしゃいませ」といったように受け答えを変える。
バーチャルキャラクターは等身大なので存在感がある。ミラーディスプレイに周囲の様子が映るため奥行き感があり、バーチャル警備員が目の前に立っているように感じた。また、視線が合うように工夫されているため、しっかり見られていると感じられ、監視の役割も十分果たしてくれそうだと感じた。
ミライト、ゴルフダイジェスト・オンライン、日本カントリークラブが提案しているのは、5GとIoTを活用したゴルフ場のソリューションだ。今回はゴルファー向けのサービスとゴルフ場向けのソリューションの2つを展示している。
ゴルファー向けには「フォトダウンロードサイネージ」を提供。ゴルフ場では速やかなプレイが求められるため、コース上での写真撮影はNGとされている。そのため、ゴルファーが最も望んでいると思われる自分のプレイの様子を写真に残すことができない。フォトダウンロードサイネージでは、プレイ中のゴルファーの写真を撮影し、それをクラブハウスに設置されたサイネージで確認し、スマホにダウンロードできるようにする。
現時点では、シャッタータイミングをどう調整するかという問題があるが、実現すれば、遊園地でアトラクションを楽しんでいる自分の写真を購入するようなことが可能になる。ゴルファーたちには楽しいサービスとなりそうだ。
ゴルフ場向けのソリューションとしては「IoTグリーン管理」を提供。グリーンの地面下に置かれたIoT機器で水分量や土中温度、塩分濃度、またサーモカメラでグリーンの表面温度を測り、グリーンのコンディション管理に役立つデータを提供する。
ゴルフ場の芝の管理は難しく、長い経験が必要だとされている。キーパーの高齢化で熟練したキーパーは数が少なくなっており、このソリューションで経験の浅い人でもグリーンの管理ができるように支援する。現時点はデータを収集し、グリーンキーパーの知見とデータをすり合わせている段階だという。
日鉄ソリューションは、管理者が現場にいなくても多くの作業者の安全・安心を見守れるソリューション「安全見守りくん」を展示している。
安全見守りくんは、スマホやスマートウォッチなど、身に付けるスマートデバイスを通して、工事現場などの作業者の状態をチェックできるソリューション。脈拍や時間から推測できる水分量といったバイタルデータや、位置などの情報をクラウドで管理できる。危険状態になると現場の管理者に通知が届き、休憩や水分を取るように促す。
4Gでも同様のサービスが可能だが、5Gになることで多くの作業員(スマートデバイス)に対応できるようになり、高速通信でリアルタイム性が高まるという。
凸版印刷のAR遠隔授業システムと4K高精細CG映像によるコンテンツを活用し、VRやARを活用した遠隔授業ソリューションが展示されている。
会場では、高精細なCGで再現された教材映像と、それを説明する専門家がタブレットに表示され、専門家の説明を聞きながらCGを指で自在に動かしたり、CGの動画を見たりしながら遠隔授業が受けられるというデモが行われていた。
5Gを活用することで、教師である専門家とは遠隔地でもリアルタイムに対話でき、4K高精細CG映像を自由に動かして見ることで高度な授業が可能になる。もちろん、複数人の生徒が同時に参加できる。
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