世界を変える5G

プレサービスだけど“本格的な5G”を開始 ドコモ吉澤社長が語る5G戦略(1/2 ページ)

» 2019年09月18日 21時07分 公開
[田中聡ITmedia]

 NTTドコモが9月20日に「5Gプレサービス」を開始する。同日に開催されるラグビーワールドカップ2019の会場や一部のドコモショップでサービスを提供する(関連記事)。これに先立ち9月18日に発表会を開催し、吉澤和弘社長が、あらためてドコモの5Gに対する取り組みの意気込みを語った。

ドコモ5G 5Gの戦略を語る、ドコモの吉澤和弘社長

キーワードは「5G OPEN」

 5Gプレサービスでは、2020年春に開始する予定の商用サービスと同じネットワーク環境を利用し、スポーツ、ゲーム、観光、音楽などでの新たなビジネス創出や、社会課題の解決を目指す。吉澤氏は「(9月20日が)本格的に5Gを開始する日と位置付けている。『5Gはあの日から始まったよね』と思っていただけるようにしたい」と期待を寄せた。

 ドコモは5Gプレサービスのキーワードに「5G OPEN」を掲げ、「新しい世界や社会への扉を開く」という考えのもと、パートナーとの協業をいっそう進める。

ドコモ5G 「5G OPEN」のコンセプトを発表

 4G(LTE)での主役はスマートフォンだが、5G時代には「スマートフォンの在り方が変わる」(吉澤氏)ことから、スマートフォンを中心に、ドコモはスマートグラスやVRヘッドセットなどさまざまなデバイスがつながる「マイネットワーク構想」を掲げている。吉澤氏は「周辺に(VR、AR、MRなどの)XRデバイス、ウェアラブル、360度カメラなど、いろいろなものがつながることで、5Gならではの空間を作れる」と展望を話す。

ドコモ5G スマートフォンと周辺デバイスが連携する「マイネットワーク構想」
ドコモ5G 屋内外で臨場感あふれるサービスを提供すべく、XR領域にも力を入れる

 吉澤氏は、ドコモならではの取り組みとして、さまざまなパートナーとの「協創」を挙げる。その枠組の「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」には、既に3000を超える企業や団体が参画しており、197件のトライアルを実施している。

ドコモ5G 外部パートナーとのサービス創出を目指す「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」

広い帯域を使い、高速大容量のポテンシャルを最大限生かせる

 5Gの周波数帯については、6GHz帯以下のsub-6では3.7GHz帯と4.5GHz帯が100MHz幅×2、30GHz帯前後からのミリ波では28GHz帯の400MHz幅が割り当てられた。ドコモはプレサービス開始時からこれらの周波数帯を利用する。なお、プレサービスで商用ネットワークを運用するのは、日本ではドコモが初となる。

 プレサービスでの通信速度(下り)は、ミリ波だと最大3.2Gbps、sub-6だと最大2.4Gbpsとなる。吉澤氏は「広い帯域を使えることから、高速大容量のポテンシャルを最大限生かせる」と自信を見せる。

ドコモ5G ドコモに割り当てられた、5Gの周波数帯
ドコモ5G プレサービスでは、sub-6とミリ波の両方を利用する

 5G対応の基地局は、2020年度第1四半期にまでに47都道府県に展開し、1年後の2021年度第1四半期には1万局を目指す。5Gエリアの人口カバー率は、2024年度までに97.02%を目指す。都市部だけでなく、地方も含めて日本全国でエリアを広げていく。なお、当面のところ基地局は4Gと5Gを併用する。

ドコモ5G 2024年までに、他社をしのぐ約97%の人口カバー率を目指す

 5Gのコアネットワークは約40%仮想化しており、富士通、NEC、Nokiaの基地局装置を相互に接続する取り組みも進めている。これは、5G通信規格の国際標準化団体「O-RAN Alliance」の仕様にのっとったもの。異なるベンダーの基地局装置を相互接続することで、広いエリアをカバーする基地局、省スペースの基地局など、用途に応じて最適な基地局の配置が可能になる。また、5G初期では4G基地局を併用するため、複数ベンダーの4G/5G基地局の相互接続も重要になる。これも、O-RAN Allianceが国際標準化を進めたことで可能になった。

ドコモ5G コアネットワークを仮想化し、複数ベンダーでの相互接続を行う

ワコムや日本ゴルフ協会とも協業

 9月20日にスタートするラグビーワールドカップ2019では、スタジアムでのマルチアングル観戦や、遠隔地でのライブビューイングなどのサービスを提供する。いずれも4Gでも可能ではあるが、「ドコモオープンイノベーションクラウド」(ドコモのネットワーク網にクラウド基盤をつないだプラットフォーム)によって低遅延でダウンロードできること、5Gによって多くの端末が同時に通信できることがメリットだと、スマートライフ推進部長の尾上健二氏は説明する。

ドコモ5G
ドコモ5G 発表会では佐藤健さんがゲストで登場。ラグビーの試合を視聴するデモを体験。複数のカメラを使い、ピッチ視点、レフェリー視点で試合を視聴した

 発表会では、新たなビジネス創出の一例として、ワコムとの取り組みを紹介。井出信孝社長兼CEOが、5G通信を活用し、XR環境で複数のユーザーが同時に自動車の3Dデザインを行うユースケースを紹介した。「3D環境で創作したい、遠隔地で複数のデザイナーがコラボしてデザインワークをしたい」という需要に応えるべく、ドコモとの協業を進めている。

ドコモ5G 複数のクリエイターが同時に3Dデザインを行う様子。リアルタイムで自動車の外装や内装をデザインし、2D環境で修正をするといった作業を繰り返していく。遠隔地での複数のデザイナーがコラボできるのがメリットだ

 ドコモは日本ゴルフ協会(PGA)とも協業。これまではPGA公認のティーチングプロが在籍するPGAゴルフアカデミー加盟店でしか受けられなかったゴルフレッスンを、遠隔地で受けられるようにするための実証実験を2019年12月から実施する。受講者の練習模様を5Gスマホのカメラで撮影し、クラウドのAI映像解析サーバへ伝送。解析された映像をコーチが見ることで、遠隔地で指導が可能になる。倉本昌弘会長は「遠隔レッスンやAIを活用したアイデアは、ドコモさんでないと出てこなかったのでは。ドコモさんと一緒に5Gを使ってゴルフ界の活性化に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

ドコモ5G 5G通信で送られてきたスイング映像をAIが解析し、それ元にコーチが映像で指導する
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