世界を変える5G

5Gは「ARPU上げる」 楽天モバイルは「スカスカ」 決済は「連携」が重要――KDDI高橋社長一問一答(2019年第3四半期決算編)(1/3 ページ)

» 2020年01月31日 20時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 KDDIは1月31日、2019年度第3四半期の連結決算を発表した。同社が注力している「ライフデザイン(非通信)領域」と「ビジネスセグメント」の成長に支えられ、3四半期の通算では前年度同期比で「増収」に転じたが、第2四半期決算時と同様に通期での業績見通しは据え置いた。

 この記事では、同日に開催された報道関係者向け決算説明会における、報道関係者と高橋誠社長との主なやりとりを紹介する。

3四半期分 2019年度の34半期(第1四半期+第2四半期+第3四半期)連結決算の概況
高橋誠社長 報道関係者に決算内容を説明する高橋誠社長

「データMAXプランPro」の値下げや5Gについて

―― 5G(第5世代移動通信システム)について、3月(のサービス開始)に向けてさまざまな検討を進めていると思います。先日「auデータMAXプランPro」を値下げすることを発表したことも、それを意識した取り組みだとは思うのですが、5Gにおける料金プランの水準はどうあるべきか、基本的な考え方を教えてください。

高橋社長 (サービスを開始する予定の)3月に入ったらまたお話しするつもりなので、今回は詳しくお話しできません。

 私たちの料金プランは「アンリミテッド(月間容量無制限)」「Netflix(とのバンドル)」が他社にはない特色となっています。(容量無制限プランやバンドルプランの分野で)私たちは競争優位に立っているという認識で、世の中にもある程度浸透していると考えています。

 今回の値下げは、少し「高止まり」のきらいもあったデータMAXプランProの月額料金を引き下げることで、「アンリミテッド」をお客さまに受け入れてもらいやすい料金水準にする狙いがあります。

 この延長線上に、5Gの料金はあると思います。ただ、私の思いとしては(5Gは)それなりに投資をしてきているので、ARPU(※1)を上げたいと。4G LTEサービスより若干(ARPUが)上がるような料金設定にしたいと思っています。

 (料金面での)議論はまだ続いているので、3月をお待ちいただければと思います。

(※1)1回線当たりの平均収入

5G au 5Gは3月に商用サービスを開始する予定。今まで、そしてこれからも投資は必要なので、高橋社長個人としては「ARPUの上がる」ようなプランにしたいようだ

―― 先日、NTTドコモが(キャンペーンという形で)「ギガホ」の月間通信容量を倍増しました。データMAXプランProの値下げは、他社を意識した取り組みでもあるのでしょうか。

高橋社長 ドコモがキャンペーンで(ギガホの月間通信容量を)倍増したことを意識したことは事実です。

 ただ、私たちのデータMAXプランは(端末単体での国内データ通信は)無制限で、彼らは(容量)制限のある中での増量という形を取っているという違いはありますが。

―― 5Gサービスの料金プランについて、ドコモ(の吉澤和弘)社長も「4G(LTE)よりも若干高くなる」という趣旨の発言をしています。

 5Gサービスの立ち上げに当たり、ある程度ユーザーを獲得するために、プラン面で(他社との)差別化を図ることはできるのでしょうか。社長の考えを聞かせてください。

高橋社長 そうしなきゃいけない(差別化を図らないといけない)とは思っています。ただ、サービス開始時はエリアもそこまで広くないですし、最初はフラグシップ的なサービスが中心に据えられると思うので、(本格的な競争は)端末がある程度そろう秋や冬以降なのかなと思います。

 社内でも話すことがあるのですが、4G LTEの立ち上げ時は(端末ラインアップの)スマホシフトと時期が重なったので、それが(キャリア間の)差別化をしやすかった面もあります。さらにさかのぼって3.5G(HSPA/EV-DO)の頃を思い出すと、データARPUを引き上げるためにさまざまな工夫を用意していました。

 5Gにしても、お客さまに「何ができるのか」ということを丁寧に説明していかないといけないと思っています。端末の進化とデータ通信速度の向上によって、コンテンツがよりリッチになっていく(大容量化していく)ので、コンテンツプロバイダーと共にどのようなことをしていくのかが(差別化の)鍵になるのではないかと思います。

コンテンツが鍵? 5G時代を見据えて、KDDIはコンテンツサービスの強化にも取り組んでいる
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