世界を変える5G

5Gは「ARPU上げる」 楽天モバイルは「スカスカ」 決済は「連携」が重要――KDDI高橋社長一問一答(2019年第3四半期決算編)(2/3 ページ)

» 2020年01月31日 20時30分 公開
[井上翔ITmedia]

楽天モバイルや楽天との関係について

―― 楽天モバイルが「無料サポータープログラム」の2次募集を実施して、すぐに締め切ってしまいました

 同社は4月(のMNOサービスの本格スタート)に向けて準備を進めていると思われますが、大容量(プランでの勝負)は厳しいので、小容量(プラン)で攻勢をかけてくるとも伝えられます。今回、御社がデータMAXプランProを値下げしたのは、それを意識した部分もあるかと思いますが、どうでしょうか。

高橋社長 先ほども言った通り、データMAXプランProについては、高止まりをしていた料金を下げたという側面が強いです。楽天(モバイル)さんを意識したわけではありません。

 楽天さんが4月に、アンリミテッドな料金を提供した場合、私たちのネットワークにローミングされると非常に高額な……いや、高額というと違うかな……データ容量に応じたローミング料金がかかるので、そのような料金(プラン)は取りえないのではないかと内心では思っています。

 ただ、相手は三木谷(浩史)さんなので、どうするのかは分かりません。安い所(プラン)に特色を持たせてくるとは言われているので、そこを視野に、KDDIグループとしてどうするのか、シミュレーションしている所ではあります。

楽天モバイル 楽天モバイルは4月にMNOサービスを本格スタートすることを宣言したが、肝心の料金プランはいまだ発表されていない

―― 楽天モバイルは、10月に始める予定だったMNOサービスがスモールスタートになってしまいました。それに伴って、(楽天モバイルから)得られるはずだったローミング収入が減少していると思うのですが、第3四半期の業績にどのくらいの影響を与えているのでしょうか。

高橋社長 ある程度のローミング収入はあてにしていました。しかし、10月の段階で(無料サポータープログラムの対象ユーザーが)約5000契約ということで、こちらも(もっと多いユーザーを想定して)準備を進めていたので「ちょっとこれはひどいじゃないですか」という話はしました。

 しかし、いつまでもそれを言っていても仕方ないので、下期の計画修正で(ローミング収入の減少)は織り込んでいます

――  楽天のワンデリバリー構想への参加に関する進捗(しんちょく)はいかがでしょうか。

高橋社長 au Wowma!(「au PAYマーケット」に改称予定)の加盟店向けに、2019年4月から「Rakuten SUPER LOGISTICS」を提供しています。「楽天ペイ(アプリ決済)」加盟店におけるau PAYの取り扱いについても順調に推移しています。

 楽天とは良い関係を継続しつつ、モバイル分野ではしっかりと競争をしていきたいと思います。

―― 楽天モバイルの無料サポータープログラムユーザーがどのような使い方をしているのか、御社はある程度把握できると思うのですが、ローミングを提供してみての感想を教えてほしいです。

高橋社長 さすがに(どのように使われているのかは)教えられません。楽天モバイルとの関係もありますし。(言える範囲で話すと)現在は無料期間でもあるので、思っている以上にデータを使っていらっしゃるな、という印象はあります。

 楽天モバイルは4月までに3000〜4000超の基地局を立ち上げるという話になっていますが、私たちとしては警戒をしています。どういうことかというと、(開始当初は)エリアは狭いものの加入者は少ないので、トラフィック面や(通信)品質面では有利なのではないかと思います。

 少し言葉は悪いですが、ネットワークが“スカスカ”なので、迅速に(エリア)展開もできますし、(電波の)干渉度がひどくないため、品質の高いサービスを提供できるということです。

 そういうこともあるので、私たちとしては(楽天モバイルのMNOサービス開始に)しっかりと対応していかないといけないと思っています。基地局数において圧倒的な差こそありますが、エンゲージメント(顧客の誘引)施策を含めて気を引き締めてやっていきます。

社長 質疑に応じる高橋社長

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