縦折スマホ「Galaxy Z Flip」と「razr」は何が違う? 実機写真で比べてみた山根康宏の海外モバイル探訪記

» 2020年02月27日 07時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

 2020年はディスプレイを縦にたたんでケータイのようなスタイルになる「縦折りスマートフォン」が増えそうです。モトローラの「razr」に続き、サムスンが「Galaxy Z Flip」を発売。さらに他のメーカーからも製品が出てくるというウワサもあります。

Galaxy Z Flipとrazr 「Galaxy Z Flip」(左)と「razr」(右)

 現在のところ、razrは米国やオーストラリアで発売されているようですが、薄型ボディーにするためにSIMスロットを廃止し、eSIMだけという大胆な仕様。そのため、通信事業者側の対応がなくては販売できず、発売国はまだ少ないわけです。

 さて、世界初の縦折り式スマートフォンとなったこの2つのモデル、まだ両方を所有して比較している人はほぼいないようです。

Galaxy Z Flipとrazr Galaxy Z Flip(左)とrazr(右)の実機を並べた写真

 筆者が2月19日にロンドンを訪問したとき、通信事業者「EE」の大型店舗ではモトローラがrazrのプロモーションコーナーを展開しており、英国でも発売間近であることをアピールしていました。ちなみに、その店からわずか330m離れたところにあるサムスンのExperience Storeでは、Galaxy Z Flipを展示中。両モデルを比較したいところでしたが、どちらもまだ発売前でかないませんでした。

Galaxy Z Flipとrazr ロンドンのEEの店で展示されていたrazr
Galaxy Z Flipとrazr すぐそばにあるSamsung Experience StoreにはGalaxy Z Flipが展示

 とはいえ、この2機種を比較したい人も多いはず。筆者は1月のCESでrazrの実機に触っており、2月のサムスン発表会ではGalaxy Z Flipの写真を多数撮っています。ということで、それぞれの写真を並べて簡単な比較をしてみました。

 まずは開いたところ。本体サイズ(幅×高さ×奥行き)は以下の通り。

  • Galaxy Z Flip:73.6×167.3×7.2mm
  • Motorola rzr:72×172×6.9 mm

 ディスプレイは以下の通り。

  • Galaxy Z Flip:6.7型、1080×2636ピクセル
  • Motorola rzr:6.2型、876×2142ピクセル

 Galaxy Z Flipの方が画面サイズは大きいのですが、本体の縦サイズは逆にrazrの方が長くなっています。ちなみに重量はGalaxy Z Flipが183g、razrが205gでrazrの方が重くなっています。

 Galaxy Z Flipはパンチホールカメラ(1000万画素)にスクエアな画面形状ですが、razrは上下がラウンドした形でノッチもあります(インカメラ500万画素)。個人的な好みもあるでしょうが、Galaxy Z Flipは実用性を取り、razrはデザインを優先した、という感じもします。

Galaxy Z Flipとrazr Galaxy Z Flip(左)とrazr(右)。開いたところ

 閉じたデザインは両者で大きく違います。Galaxy Z Flipは正方形に近い形で、1.1型、300×112ピクセルの小型ディスプレイを搭載。カメラは1200万画素+1200万画素のデュアルで、この小さいディスプレイは閉じた状態でのプレビュー画面にもなります。razrは外側ディスプレイは2.7型、800×600ピクセルと大きく、1600万画素カメラを使ったプレビューもかなり大きく表示できます。なお、閉じた状態でカメラを起動する方法は、Galaxy Z Flipが「電源キー(側面)の2回押し」、razrが「本体を2回ひねって振る」です。

Galaxy Z Flipとrazr Galaxy Z Flip(左)とrazr(右)。閉じたフロント面

 閉じた状態を側面から見ると、両者の特徴がよく分かります。Galaxy Z Flipはサムスンの初代折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」と同様にヒンジ部分に隙間があきますが、その間隔はかなり薄くなっています。razrはヒンジ部分のディスプレイがヒンジ何部に引き込まれる構造のため、閉じると完全に密閉します。また、ディスプレイは上側が下側の出っ張りに密着するデザインになっていますが、これは2004年に発売された初代、いやオリジナルと呼べる「RAZR V3」のスタイルを再現しているのです。

Galaxy Z Flipとrazr Galaxy Z Flip(左)とrazr(右)。閉じた状態を横から見る

 そして最後はヒンジの部分。折りたたみスマートフォンはここからホコリなどが入りやすく、各社が設計の上で最も苦労する部分でもあります。どちらのモデルも昔からある折りたたみ型の携帯電話とは異なり、曲がる部分から内部に異物が入らないようにヒンジをささえるパーツを別としています。Galaxy Z Flip箱の内部にブラシを備えているとのこと。またrazrはこの内部空間に折りまげたときのディスプレイの伸びの部分を逃がしているのです。

Galaxy Z Flipとrazr Galaxy Z Flip(左)とrazr(右)。ヒンジ部分の構造は似ている

 Galaxy Z Flipの発表会では、価格が高価(1380ドル)ということから販売国は少ないと思いきや、日本でもKDDIが販売するなど、サムスンはこの新しいデザインのスマートフォンを世界中で売るようです。一方のrazrは、eSIMゆえに日本での販売は厳しいところ。しかし日本でもeSIMだけのスマートフォンは楽天から「Rakuten Mini」が販売されています。もしかしたらrazrが楽天から出てこないかな、なんて考えるのは夢物語でしょうが、日本でもぜひ出してほしいと思うのです。

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