世界を変える5G

富士通コネクテッドテクノロジーズが「5Gスマホのリファレンスデザイン」を開発 米Qualcommとの協業で

» 2020年04月06日 13時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は4月6日、米Qualcommとの協業のもと「5Gスマートフォンのリファレンスデザイン」を開発したことを発表した。5G NRのSub-6(6GHz以下の帯域)とミリ波の両方に対応するスマホとしては世界最薄(同社調べ)の厚さ7.6mmを実現しており、NTTドコモが6月下旬以降に発売する「arrows 5G F-51A」もこのレファレンスデザインをベースに開発されたという。

リファレンスデザイン FCNTが開発した5Gスマホのリファレンスデザイン

 このリファレンスデザインでは、Qualcommが開発した「Snapdragon 865 5G Modular Platform」を活用。アプリケーションプロセッサ(Snapdragon 865の本体)、モデム(Snapdragon X55 5G Modem)とRFフロントエンドをそれぞれモジュール化したことによって、部品を個別実装した場合と比べて実装面積を約35%、基板面積を約20%削減できたという。

 さらに、3次元実装を用いた基板埋め込み技術を適用することで、端末の薄型化も図れたとのことだ。

基板 基板に載せる各種チップ類をモジュール化し、3次元実装することで基板のコンパクト化とボディーの薄型化を実現

 5Gの高速通信を支えるミリ波は、波長の短さからアンテナ実装が難しく、ノイズを発生する部品の多いスマホではノイズ対策も同時に求められる。

 リファレンスモデルでは、高周波信号の信号品質を確保できる「低誘電基板」を使ったり、アンテナと基板との接続にフレキシブルケーブルを利用したりすることで、薄型化と最適なアンテナ配置を両立したという。

 また、金属と樹脂のハイブリッドボディーを用いることで、ボディー上部、左側面、右側面にそれぞれ1つずつミリ波用アンテナを設置し、全方向へのアンテナ放射を実現している。

アンテナ 本体の周囲はアンテナが張り巡らされている

 本体の冷却には、従来から用いているグラファイトシートに加えて、揮発性の高い液体を封入した「ベイパーチャンバー」を用いている。ベイパーチャンバーはハイブリッドボディーと一体化しており、熱の拡散性と均熱効果を高めている。

ベイパーチャンバー ベイパーチャンバーをハイブリッドボディーと一体化することで、冷却性能を高めている

 先述の通りarrows 5G F-51Aはこのリファレンスモデルをベースとして開発されたもの。今後FCNTは、リファレンスモデルに含まれる要素技術をIoT製品、自動車や医療など、幅広い産業分野に応用する検討していくという。

F-51A NTTドコモ向けのF-51Aはリファレンスモデルをベースに開発されたという

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