Hisenseが世界初のカラー電子ペーパー搭載スマホを発表 なぜ今なのか?山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)

» 2020年05月15日 12時00分 公開
[山根康宏ITmedia]
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教育現場での利用を見込む

 なぜHisenseはこのように他社が採用しない、しかもコンテンツの表現能力に劣るディスプレイを採用するのだろうか。その1つは教育市場を視野に入れていると考えられる。今や中国でもスマートフォンやタブレット向けの学習コンテンツは数多く出回っている。しかし液晶や有機ELディスプレイを長時間見ることは、子どもの目の健康にはよろしくない。学校などで「自宅でのタブレット利用は何時間まで」という規制がされるようになるだろうが、教育熱心な家庭ならそれを無視してしまうことも十分ありうる。

 しかしバックライトのない電子ペーパーや反射型液晶なら目の疲れは少なく、より長時間画面を見られる。いずれ学校でも紙の教科書は完全になくなる時代が来るだろう。そのときには目に優しいディスプレイが求められるだろう。Hisenseはこの巨大なマーケットに向け、今から新しいディスプレイの開発力強化やユーザーからのフィードバックを受けようとしていると考えられる。

Hisense 教育コンテンツを長時間利用するなら電子ペーパーの方が目に優しい

 また、Hisenseは家電メーカーでもある。今後あらゆる家電がIoT化すれば、それぞれの製品には状態を表示するためのディスプレイも搭載されるようになっていくだろう。そうなれば用途に応じて最適なディスプレイを搭載する必要も出てくる。スマートフォンやタブレットで新しい技術のディスプレイを採用することは、ディスプレイ開発メーカーとの技術的なつながりを持つこともできるのではないだろうか。

 今回紹介したスマートフォン、タブレットは現時点ではニッチな製品であり、爆発的に売れるものではないだろう。しかしスマートフォンや家電の進化はこれからも続いていく。Hisenseが積極的に新しい部材を採用する動きは、将来を見据えた技術的な投資と見ることもできるのだ。

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