総務省は5月29日、NTTドコモの販売代理店が「不適切な端末代金の値引き」を行ったとして、同社と販売代理店70社に対して電気通信事業法に基づく行政指導を行った。
2019年10月に改正された電気通信事業法では、端末代金の割り引きやポイント還元といった契約者(ユーザー)に対する「利益」の提供を大幅に制限している。今回の代理店に対する行政指導は、端末代金にまつわる利益提供について行われたもので、主に以下のような事例があったという(総務省資料に示された概要をもとに記述している)。
同一代理店(法人)で1つの端末に対して複数の販売価格を設定している場合、販売価格の差額も「ユーザーへの利益提供」と認定される。この差額には、店舗が独自に設定する「頭金」(販売手数料)も含まれる。
しかし、店舗間の「頭金」の差を考慮せずに価格と割り引きを設定した結果、法令に定める上限を超過してしまったケースがあるという。
ユーザーに対する利益提供は「キャリアが提供するもの」と「代理店が提供するもの」が合算される。
しかし、キャリアが提供する利益(スマホおかえしプログラム、はじめてスマホ購入サポート、端末購入サポート)を考慮せずに代理店が割り引きなどを行った結果、合計した利益提供額が法令に定める上限を超過してしまったケースがあるという。
「3G端末から4G/5G端末への移行」など、改正法では旧通信方式から新通信方式への移行については端末代金を上限とする利益提供が可能となっている。
しかし、ユーザーの持っている端末(契約)が旧通信方式にのみ対応していることの確認が徹底されなかったために、新通信方式に対応する端末を持つユーザーに誤って制限を超過する利益を提供してしまったケースがあるという。
「旧通信方式からの乗り換えは端末代金を超える利益提供が可能」と代理店が誤認し、端末代金を超過する利益を提供してしまったケースもあるとのことだ。
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