調査会社・MM総研が5月19日に発表した2019年度のSIMロックフリースマートフォン出荷台数シェアは、Huaweiが16.4%でAppleに次ぐ2位につける。Androidスマートフォンメーカーとしては1位の座をキープした。これを、3位のシャープ(15.4%)、4位のASUS(12.4%)、5位のOPPO(11.7%)が追う構図だ。とはいえ、このデータは2020年3月までのもの。日本でHMSへの本格移行が始まったのは4月で、そのデータは反映されていない。16.4%は、GMS搭載端末によるシェアと言い換えることができる。
主力モデルが続々とHMSに切り替わっていく中、Huaweiがこのシェアを維持できるのかは未知数といえる。SIMロックフリースマートフォンメーカーの中では、ASUSもハイエンドモデルやゲーミングスマートフォン中心にラインアップを見直しており、ミドルレンジモデルの新機種は発売されていない。2社のシェアがゼロになることはないが、合計28.8%のユーザーの多くが、他のメーカーに流れる可能性も高くなってきた。SIMフリー市場は“下克上”が起きやすい状況になっているというわけだ。
こうした状況を、他のメーカーは虎視眈々(たんたん)と狙っている。Huaweiと同じ中国に本拠地を構えるXiaomiも、その1社だ。同社はHuaweiと同日となる6月2日にオンラインでの発表会を開催。意図的に発表をぶつけたかどうかは語られなかったが、メディアに対する告知はHuaweiの方が早く、同時開催を狙った可能性は高い。競合中の競合ともいえるHuaweiとの対決姿勢を、鮮明に打ち出した格好だ。
この発表会では、コストパフォーマンスに優れた2機種を発表した。Mi Note 10 LiteとRedmi Note 9Sがそれだ。中でもインパクトが大きかったのが、「お手頃な価格にするために作られた」(アジア担当ゼネラルマネージャー スティーブン・ワン氏)というRedmiシリーズのRedmi Note 9Sだ。
同モデルは、ミドルレンジ上位の端末に向けたプロセッサの「Snapdragon 720G」を内蔵し、4800万画素のメインカメラを含むクアッドカメラを搭載。インカメラ部分だけに穴を開けたパンチホール型のディスプレイや、5020mAhの大容量バッテリーを備えながら、価格は2万4800円を実現した。HuaweiのP40 lite Eより1割程度安い一方で、プロセッサの処理能力は、2、3年前のハイエンドモデルに並ぶ。USB Type-Cや5GHz帯のWi-Fiにも対応しており、仕様面でも妥協がない。
ワン氏は発表会で、売れ筋のSIMロックフリースマートフォンとしてシャープの「AQUOS sense3 plus」やOPPOの「Reno A」を挙げ、Redmi Note 9Sの優位性をアピールしていたが、おサイフケータイや防水に対応していないことを考えると、真の競合はHuaweiのミドルレンジモデルだ。仮にHuaweiのP40 lite EがGMSに対応していたとしても、性能対価格では、Redmi Note 9Sに軍配が上がっていた。コストパフォーマンスの高さでSIMフリー市場を席巻していたHuaweiのお株を奪う端末といえる。
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