KDDIは7月31日、2020年度第1四半期決算を発表した。同社が注力している「ライフデザイン(非通信)領域」と「ビジネスセグメント」の成長に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で端末販売に関わるコストが削減されたことで、前年度同期比で売上高は微減となったものの、増益は確保した。
今回の説明会で一番衝撃的なのは、端末の販売台数が前年同期比で45万台減少し、約150万台にとどまったことにある。この点について、同社の高橋誠社長は、主に5Gサービスの普及への悪影響を危惧している。
KDDIでは、3月26日に5G通信サービス「au 5G」をスタート(関連記事)。2020年夏にかけて手頃なミドルレンジスマートフォンを投入し、5G基地局の開設も、ソフトバンクとの合弁会社「5G JAPAN」を活用するなどして前倒しして普及を加速する意向だった。
しかし、当初の5Gスマホのラインアップはハイエンドモデル中心で、改正電気通信事業法の影響で端末値引き販売に厳しい制限がかけられた。そこに新型コロナウイルスの影響でau取扱店への来客が少なくなるという「ダブルパンチ」(高橋社長)によって、端末販売数が大幅に減ってしまったようだ。
高橋社長はこの状況について、報道関係者向け決算説明会にいける質疑応答で以下のように危機感を示した。
―― 5G(端末の普及)が計画よりも遅れているという話がありましたが、現状においてどのくらいの台数(契約件数)が出ているのでしょうか。
高橋社長 現時点では数値としては示すことはできませんが、決算説明にもある通り、この四半期の端末販売台数は前年同期比で45万台減と(減少幅が)非常に大きくなっています。3月から「力を入れて5Gをやるぞ!」となっていた所で、その出鼻をくじかれたような形となりました。
私たちとしては、2020年度末までに(5G端末の販売数を)200数十万台まで持って行く計画です。(その達成に向けて)3月と4月に多数のイベントを計画していましたが、(新型コロナウイルスの影響で)全て中止となりました。これらを仕切り直して、今年(2020年)の秋からできるように準備を進めている所です。(新型)コロナウイルスには、この頃までには収まってもらって、5Gの再スタートを切りたいと考えています。
先ほども言いましたが、「アフターコロナ」に向けて、IoTサービスや付加価値サービスといった5Gを用いた新しい産業を作っていかなければいけません。(現状に)若干あせりは感じていますが、何とか5Gを軌道に乗せたいと考えています。
KDDIでは、2020年度の端末販売台数を760万台(うち、スマホが690万台)と計画している。高橋社長の話を聞く限りは、そのうちの200数十万台が5G端末となる。この計画を達成できるかどうかは、新型コロナウイルスの動向次第といえそうだ。
KDDIが2019年度通期決算説明会で配布した補足資料によると、2020年度の端末販売台数は760万台(うち、スマホが690万台)という計画となっている。このうち、5G端末は「200数十万台」(高橋社長)を占めているようだなお、5G端末を下支えする5G基地局の開設は順調に進んでおり、「2020年度末までに1万局、2021年度末までの5万局」という計画からの“前倒し”は、現状は順調に進んでいるという。
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