5Gが創出する新ビジネス

NECのローカル5G戦略を聞く 通信以外の知見、低コスト化が可能な“仮想化”が強み5Gビジネスの神髄に迫る(2/2 ページ)

» 2020年08月17日 14時15分 公開
[佐野正弘ITmedia]
前のページへ 1|2       

NTTとの提携で話題、O-RANはローカル5Gにも生かせるのか

 ちなみにNECは基地局などの無線アクセスネットワーク設備に関しても、NTTと提携してO-RAN Allianceの「O-RAN」規格に準拠した通信機器の開発を強化するなど、オープン化に力を入れている。こちらはローカル5Gのコスト削減などにつながるのだろうか。

NEC NECはO-RAN準拠の無線機器開発にも力を入れている。写真は「CEATEC JAPAN 2019」のNECブースに展示されていた、O-RAN準拠の5G無線ユニット

 新井氏は、「ローカル5Gとキャリア向けの製品をなるべく共通していくことに取り組んでいるし、テクノロジーはどちらも一緒。NTTとの提携はローカル5Gの後押しになるのではないか」と期待を寄せる。ニーズが異なる部分もあるため完全に一緒というわけにはいかないというが、O-RANに準拠することで機器の共通化が進むことが、将来的なコストダウンにつながる可能性もありそうだ。

 またNTTとの提携では、O-RAN対応機器で世界的な販売拡大を進めることが注目されたが、新井氏は「ローカル5Gは幅広く機器を売るビジネスではなく、限定されたビジネスになると思っている」と話す。海外での機器販売拡大はあくまでキャリア向けが主体であり、ローカル5Gでは海外でも、ソリューションとしてサービスと一体提供することを重視していく考えのようだ。

 では、NECはいつローカル5Gを本格提供する予定なのか。新井氏は「2020年12月からになる」と答える。現在ローカル5G向けに割り当てられている28GHz帯は、4Gと一体で提供するノンスタンドアロン(NSA)での運用が求められるだけでなく、周波数帯が非常に高いミリ波であることから、「しばらくは実証フェーズが続くと思う」(新井氏)そうだ。

 NECもSA(スタンドアロン)での運用が可能なSub-6の4.8GHz帯が本命と見ているようで、4.8GHz帯の割り当てが2020年12月頃になることを見越してその時期からの商用サービス提供を考えているそうだ。それゆえ実証実験の多くもSub-6の実験局免許を活用して進めているそうで、ミリ波に関してはまだハードルが多いことから、先進的な企業と実証実験を進め活用方法を模索しているとのことだ。

取材を終えて:サービス本格化まで顧客の関心をつなぎ留められるか

 NECはキャリア向けの事業を長年手掛けネットワークに関する知見を多く持ち合わせているだけでなく、ITやOTなど幅広い事業で豊富な実績を持つ。それらがローカル5Gを活用した企業向けソリューションの競争力という点では、大きな優位性となることは確かだろう。

 一方そうした優位性を持つNECでさえ、ミリ波・NSAでのローカル5Gの実用化はまだ厳しいと見ているのは気になるところ。SAでの運用ができる4.8GHz帯の割り当てと、新井氏が話す「デリバリータイム」を考慮すればローカル5Gで具体的な実績を出すにはまだ時間がかかるだけに、それまで顧客のローカル5Gに対する関心を維持できるかが問われることにもなりそうだ。

 また楽天モバイルやNTTとの提携などでここ最近話題となっている、通信機器事業の拡大に向けた取り組みがローカル5Gにどこまで影響してくるかも注目されるところ。無線設備のオープン化やコアネットワークの仮想化などは低コスト化に貢献する可能性が大きいだけに、ローカル5Gの普及を見据える上でも重要なポイントとなりそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年06月30日 更新
  1. スマホの「SIM組み合わせ」を3カ月で3回も変えた話 楽天モバイル→日本通信→Y!mobileからの移行先を思案中 (2026年06月29日)
  2. 松屋の券売機が「思いのほか使いやすかった」 それでもネットで不評なのはなぜ? (2026年06月29日)
  3. ティム・クックCEOが「もはや限界」と値上げに言及――すでにAndroidでは値上げラッシュが始まる (2026年06月28日)
  4. 「モラルが欠如している」──LINE安否確認で“悪ふざけ”、SNSで批判の的に (2026年06月26日)
  5. ダイソーで770円の「備えラジオ」は“備える”以上に”ノスタルジック”だった件 目的に徹したシンプルさが懐かしさを呼ぶ (2026年06月27日)
  6. ソニー「aiboはやめません」──“次の開発”も明かす オーナーに「安心してください」と呼びかけ (2026年06月27日)
  7. ソフトバンクの5G通信が速くなる「Fast Access」を試す 非対応回線と有意な差も、見えてきた“次の課題” (2026年06月27日)
  8. NHKはなぜ「スクランブル化」しないのか? 「公共放送」という位置付けが足かせ? (2026年06月27日)
  9. 「日本は6G周波数の議論すら始まっていない」 クアルコムが抱く危機感と、AI時代の次世代通信 (2026年06月26日)
  10. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー