なぜau回線のみ? eSIMへの応用は? IIJに聞く「従量制プラン」の狙いMVNOに聞く(2/2 ページ)

» 2020年09月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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プラン変更もできるよう認知度を上げていきたい

―― 従量制プランですが、どの程度の回線数を見込んでいますか。

亀井氏 認知されるまでにしばらく時間がかかると思いますが、年間を通じて5万回線ぐらいいきたいという思いはあります。そのためには、先ほど矢吹がお話ししたように、店頭で広く見せることも必要になってきます。

―― むしろ、従量で適切な料金になるのであれば、このプランに一本化してもいいのでは……と思いましたが、いかがですか。

亀井氏 このプランは自分の使う容量を意識していないと、なかなか選びづらいと思います。普段から容量を気にせず使っている方は、「何でわざわざ自分でストッパーをかけないといけないの?」と思うかもしれません。天井が20GBなので、自分で制限をかけないと料金が高くなってしまい、コスト意識の高い方には怖いと思われかねません。

矢吹氏 開発中には、価格弾力性がどこまであるのかという議論になりました。100円、200円安いからといって、本当にユーザーがそこに飛びつくのか。多少安くても、煩わしさや、繰り越せない点をどう捉えるのか。確かに一生懸命考える人にとっては合理的なプランですが、「ちょっと高いけどこれを選んでおけば安心」という考え方をする人もいます。

―― ちなみに、既存のプランから従量制プランへの変更ができません。これも、エコプランの改定だったからでしょうか。

矢吹氏 実装を急いだためですが、裏事情はそうです。

亀井氏 ただ、ぜひ変更できるようにしたいと考えています。そのためには、この従量制プランの認知度を上げていく必要があります。

矢吹氏 プラン変更できるようにするのが、システム的にかなり重い作業になるため、ある程度結果を出す必要があります。一方で、メインの料金プランをどうするのかという議論もあって、開発の優先順位を考えなければなりません。

IIJmio タイプAのみ、プラン変更は不可といった制約がある

―― 自分はeSIMを契約していますが、うっかり容量の追加を忘れていて、通信ができないということがあります。今回の従量プランに実装された機能は、eSIMに展開してもいいのではと思いました。

亀井氏 しなければいけないと思っています。取りあえず1GBからスタートするというのがデータプラン ゼロでしたが、単純にアプリで設定したいという要望も多く寄せられています。容量確認と追加だけでも簡単にできるよう、工夫しなければいけないと考えています。

取材を終えて:制約を減らして“選びやすいプラン”にできるか

 コロナ禍の通信利用動向を踏まえつつ、既存の料金プランのシステムを流用することで、従量プランはタイムリーに開始することができた。1GB刻みの従量制プランを用意している会社は少ないため、月ごとの変動が大きいユーザーのニーズを満たせそうだ。480円からという金額にも、インパクトがある。

 一方でそのために制約も生まれた。特に大きいのは、プラン変更できないことだろう。既存のIIJmioユーザーがこのプランを契約しようとすると、いったん解約しなければならない。au回線限定なのも、持っている端末によっては制約になる。こうした特別な条件を減らし、普通に選べるプランにするのが今後の課題と言えそうだ。

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