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法人市場を“クラウドSIM”で開拓、テレワーク需要にもマッチ 「DoRACOON」の狙いを聞くMVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2020年10月13日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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データ容量は“無制限”ではない

―― テレワーク需要も見込んでいるようですが、プランを見ると、無制限という記載があります。クラウドSIMの容量無制限が実際には無制限ではなかったということで問題になりましたが、こちらは大丈夫なのでしょうか。

DoRACOON 月間無制限プランも、1日5GBまでの制限を設けている

吉田氏 無制限ですが、実際には制限があります。ネットワークを借りている以上、本当の無制限は難しい。利便性とお客さまのバランスを見て、監視はクラウド側で逐次行っています。

滝氏 1日の中で5GBを超えると、段階的にスピードダウンしていくようになっています。「実際にはこのぐらい使えるので大丈夫ではないでしょうか」というご提案の仕方をしています。

吉田氏 法人での使われ方を見ると、多くても1日の1GBから2GBがほとんどです。シンクライアントのPCを丸1日使ったとしても、だいたい1GB程度。20日稼働で考えると20GBぐらいになります。内線に関しては1時間使っても10MB程度で、IP電話はデータ量も非常に少ない。コンシューマーだととんでもないデータ量になることがありますが、法人の場合は、遊びで使うことがないので大丈夫です。使いすぎたら、会社にもすぐにバレますからね(笑)。

―― ちなみに、そのトラブルでクラウドSIM自体のイメージに傷がついてしまった面があります。技術自体が悪いわけではなく、運用の問題が大きいとは思いますが、その辺への懸念の声はありますか。

吉田氏 おっしゃる通り、クラウドSIM自体が悪いのではありません。クラウドかどうかは関係なく、物理的なSIMカードでも使われるときは使われますからね。逆にクラウドSIMなら、1つ1つの容量を全てこちらでコントロールできるため、速度を抑えたり、極端なケースでは停止したりすることもできます。そのコントロールをしっかりしないと、ああいったことになってしまう。確かにそれをやるのは大変ですが、こちらは逐次データを見ながらやっています。

滝氏 広告代理店や販売パートナーになりたいというお問い合わせは多くいただきましたが、やはりご提案のときには、クラウドSIMのネガティブなイメージをご指摘いただくことはありました。ただ、われわれはNTTの冠を付けている以上、ああいった運用はできませんし、ブランドに対するプライドもあります。改めて襟を正すところはありますが、そこはしっかりやっていかなければいけないと考えています。それもあって、無制限という言葉は強く打ち出しすぎないようにしています。また、ケースによっては無制限や大容量をご要望されることもありますが、その比率が高いかというと、そうでもありません。

吉田氏 (トラブルを起こした会社は)恐らく経験がなかったのではないでしょうか。私たちは既にクラウドSIMを5年ぐらいやっていますが、想定を超えた使い方がどうしても出てきてしまうので、無制限はやっていませんでした。いきなり大風呂敷を広げた結果、ドカンと(トラフィックが)来てしまったのではないでしょうか。結果として、キャリアにも迷惑が掛かってしまいます。われわれもキャリアとは変なお付き合いはしたくないので、安定して提供できるソリューションが大事と常に言っています。

社員数100人未満の会社が主なターゲット

―― 実際に導入される企業は、どういった規模感のところが多いのでしょうか。

滝氏 いわゆるSMB(Small to Medium Business)と呼ばれる中小企業で、社員数100人未満の会社が主なターゲットです。電話機でいうと10台ぐらいを置き、それを10人、20人でシェアする事務所形態の会社がこういったサービスを導入しています。

吉田氏 完全にワンストップで内線電話まで提供できるのがミソになっています。従来だと、ひかり電話と内線電話のセットはできましたが、モバイルデータ通信は別になっていました。そこをワンストップで、NTT西日本の商品として提案できるのは大きいと思っています。

―― 料金的にも、MNOと比べるとリーズナブルです。

滝氏 戦略的な価格と言っていいのかどうかは分かりませんが、モバイルWi-Fiルーターは、行政指導を受けた会社が市場を作ってしまった側面があります。価格は、そこに匹敵するものにせざるを得ませんでした。一方で、据え置き型やスマホは、サービスパッケージを他社が持っていないこともあり、比較的自由に設定できています。もちろん、価格的に大手3キャリアではなく、MVNO寄りになることを意識しています。

吉田氏 面白いのが、休止プランもあることです。例えば学校に導入するような場合、夏休み期間だけ使わず、夏休みが終わったらすぐに使えるようにしたいという要望があります。そのため、マイページで休止や再開通をすぐにできるようにしてあります。

―― 低速無制限のプランもあり、先ほどお聞きした、細くてもつながっている必要があるというニーズに合いそうです。

滝氏 低速無制限プランは、データ通信でテザリングやアプリを使うのではなく、電話利用だけできればいいというライトなところをターゲットにしています。いったん入っていただければ、テレワークに切り替えるようなときだけ、大容量にすることもできます。顧客接点を作っておけば、アップグレードもしてもらいやすくなるため、戦略的に作ったプランです。

―― MVNOのSIMカードも使っているようですが、速度的にはどの程度出るのでしょうか。

吉田氏 キャリアのSIMカードは問題なく、われわれのL2接続しているSIMカードも、コンシューマーに出しているわけではないので安定しています。使えないとお叱りを受けることはありません。

滝氏 NTT印を付けているので、サービス品質は維持したいと考えています。スピードはある程度チェックしていて、他の事業者よりしっかりとした速度が出ていることを確認しています。

取材を終えて:法人向けにもクラウドSIMの利点を生かせる

 クラウドSIMを使ったサービスは、海外渡航時に国際ローミングとして使うものか、大容量のWi-Fiルーターに二分されていた。コロナ禍で海外渡航が激減した結果、現状のニーズは後者に集中している。そんな中、法人用のバックアップ回線としてクラウドSIMを提供するというのは、新しい事例といえる。スマートフォン型で内線需要を取り込むなど、幅広いニーズに対応している点も面白い。同じソフトウェア型のSIMカードだが、eSIMとは違い、マルチキャリアのメリットを生かせるのはクラウドSIMならではだと感じた。

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