形状はiPad Proに近づいたが、Face IDではなく、Touch IDが搭載されているのは大きな違いだ。ただし、このTouch IDは従来のようにホームボタンに組み込まれているのではなく、ディスプレイのオン、オフを行うためのトップボタンに統合されている。そのため、このボタンはiPad Proよりサイズが大きい。指紋の読み取り精度は高く、ロック解除も素早く行える。iPad Airは縦と横、両方で使う機会が多いため、それぞれでタッチしやすい指を登録しておきたい。これは、縦持ちが中心のiPhoneや、正面に搭載されていたホームボタンとの差といえる。
iPadのディスプレイを点灯させる方法はいくつかあるが、Touch IDで指紋を認証して、そのまま使い始めるためにはトップボタンを押す必要がある。Face IDの場合、真っ暗になった画面をタップすればそのままユーザーの認証が行われるが、Touch IDのiPad Airの場合は、画面が点灯した後、さらに登録した指をトップボタンに当てる必要がある。この点ではFace IDより柔軟性がないため、画面のつけ方から意識して変えていく必要がありそうだ。
Magic Keyboardなどのキーボードを装着して使う場合が、少々厄介だ。Face IDなら、キーボードのキーを押すだけで画面が点灯し、そのまま自動的に顔が読み取られてロックが外れるが、Touch IDの場合はいったんキーボードから左手を離して指を当てなければならない。キーボードでパスコードを入力してしまうという手もあるが、自動的に認証が行われていたFace IDと比べると、ひと手間増える印象だ。
とはいえ、縦にしてiPadを持って、Webや電子書籍などのビュワーとして使う場合、Face IDでの認証は少々失敗しやすかった。顔とディスプレイが近づきすぎてしまうためで、iPhone以上に適切な距離感を取るのが難しい。逆に言えば、Touch IDはトップボタンに指を当てて押し込むだけでいいので、失敗は少なくなる。コロナ禍でマスクを着用する機会が増えているが、この場合もFace IDは機能しなくなるため、使い勝手はTouch IDに軍配が上がる。良しあし両面あるため、次期iPhoneやiPad Proでは、両方に対応することを期待したい。
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