世界を変える5G

5Gへの移行を加速させるドコモ エリア拡充で強みあり、普及モデルも強化石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2020年11月07日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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マクロ局の運用でエリア拡大 「瞬速5G」はユーザーに届くか

 スマートフォンや周辺機器をそろえても、5Gに接続できなければ意味がない。普及を加速させるには、エリアの拡大も急務だ。ただ、ドコモは「5Gのために用意された3つの新周波数帯にこだわって、エリアの構築を進めている」(吉澤氏)。4Gの周波数転用で、既存の基地局を生かしながら5Gのエリアを一気に広げようとしているKDDIやソフトバンクとは対照的だ。

ドコモ ドコモは、5G用に割り当てられた3つの周波数帯にこだわってエリアを構築していくという

 実際、2023年3月末までには5Gの基地局数を3万2000局に拡大し、人口カバー率で70%を達成するというが、この数字は3.7GHz帯や4.5GHz帯、28GHz帯といった5G用に割り当てられた周波数帯で達成するという。対するKDDIやソフトバンクは、2022年3月末までに基地局数を5万に拡大する計画を明かしている。ドコモより1年早く、1万8000局多い基地局を開設する予定だが、ここには4Gからの転用も多く含まれている。

ドコモ 2023年3月末までに、3万2000局の基地局を開設する予定。この時点で、人口カバー率は70%に達する

 ドコモも「既存周波数をどのように展開していくのかは検討中」(ネットワーク部 技術企画 担当部長 中南直樹氏)で、4Gの周波数を5Gに転用しないわけではないが、スタートは他社より遅くなる。吉澤氏によると、転用の開始は2021年度後半を予定しているといい、基地局数や人口カバー率などの指標は公表していない。「4Gを5Gに変えただけでは、速度が何も上がらない」(中南氏)というのがその理由だ。少なくとも数年は、KDDIやソフトバンクの方が、5Gのエリアが広くなる可能性が高い。

 もっとも、エリア拡大のペースは、これまでよりも大幅に上げていく。発表会に合わせて公開したエリアマップを見ると、その広がりは一目瞭然だ。21年3月末時点でも、東京都23区などの大都市圏では、5Gがカバーしている範囲が大幅に増えている。「夏を超えて、ある程度広くエリアをカバーできるマクロ局の展開を始めている」(同)ためだ。3月のサービス開始から夏ごろまでは、スモールセルが中心だったが、夏以降は、出力や設置位置が高いマクロ局を増やし、カバーできる面積を広げているという。

ドコモ
ドコモ エリアマップを見ると、10月30日時点では、スポット的なエリアだった5Gが、2021年3月末には面で展開されていることが分かる。これは、マクロ局を増やしていくためだ
ドコモ その1年後の2022年3月末には、カバー範囲がさらに広がる。大都市圏では、屋外ならほぼ5Gにつながっている状況になりそうだ

 マクロ局を展開する上でドコモにとって有利なのが、4社の中で唯一4.5GHz帯を持っていることだ。3.5GHz帯は衛星との干渉調整が必要になり、基地局の展開に時間がかかる。広いエリアを確保しようとすると、それだけ干渉する可能性も高くなってしまうからだ。見かけ上のエリアの広さではKDDIやソフトバンクのリードを許してしまう可能性はあるが、多少の差であれば、5Gならではの速度で他社を圧倒できるというのがドコモの見立てといえる。裏を返せば、4.5GHz帯のない他社は周波数転用に頼らざるを得ない側面がある。

 5Gならではの超高速通信をアピールするため、ドコモは新周波数帯のエリアを「瞬速5G」と名付けて展開。さらに12月からSub-6のキャリアアグリゲーションも開始する。対応するのは、先に挙げたGalaxy Note20 Ultra 5GとXperia 5 IIの2機種のみで、春夏モデルやiPhone 12シリーズは非対応だが、理論上の速度は下り最大4.2Gbpsになり、ミリ波単独の4.1Gbpsをも上回る。

ドコモ 12月には、Sub-6の2周波数帯をキャリアアグリゲーションで束ね、下り最大4.2Gbpsを実現する

 端末ラインアップとエリアの拡大で、いよいよ5Gが普及する条件が整ってきた。ドコモ自身が掲げている目標である、2021年3月末の250万契約を達成できるかが、その成否を評価する1つの指標になりそうだ。

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