NTTドコモは、5Gへの移行を加速させていく。鍵となるのが、ミドルレンジモデルの拡充とエリアやスループットの拡大だ。11月5日に開催された発表会では、冬春モデルのラインアップと同時に、新周波数帯を活用した「瞬速5G」をアピール。あわせて、現在および2021年3月末、2021年夏時点で予定しているエリアマップも公開した。その詳細を見ていこう。
サービス開始時の5Gスマートフォンは、いずれもハイエンドモデルで、機能が充実していた一方で、価格が高止まりしていた。2019年10月の電気通信事業法改正で、割引に制限がかかり、普及のペースは緩やかだった。ドコモは、2021年3月末までに250万契約を目標にしていたが、7月上旬の契約数は約17万、上期が終わった9月末時点では38万にとどまっている。iPhone 12、12 Proが発売され、直近での契約数は50万を超え、ペースは上がっているが、ようやく目標値の5分の1に届いたところだ。
このスピードをさらに上げるため、ドコモは5Gのスタンダードモデルを一気に4機種投入する。サムスン電子の「Galaxy A51 5G」、富士通コネクテッドテクノロジーズの「arrows NX9」、LGエレクトロニクスの「LG VELVET」、シャープの「AQUOS sense5G」が、その4機種だ。ハイエンドモデルに近い高機能なモデルはスマホおかえしプログラムを適用したときの実質価格になるが、4機種は「3万円台から5万円台で提供予定」(吉澤和弘社長)だという。
Galaxy A51 5G、arrows NX9、LG VELVETは、いずれもQualcommのSnapdragon 765Gを搭載したミドルハイのスマートフォン。ミドルレンジとはいえ、どの機種も3眼、4眼のカメラを搭載しており、処理能力も高いためサクサクと動く。さらに、LG VELVETはLGデュアルスクリーンの有無を選択可能。本体はデザインにこだわったスリムなスマートフォンだが、ケースを付けると2画面端末に早変わりする。
これに対し、AUQOS sense5Gは、より価格を抑えた普及モデルになる。プロセッサはSnapdragon 690を採用しており、Snapdragon 765Gより性能は一段下がるが、普段使いには十分なモデルだ。オンラインショップ限定の3色を入れると全7色展開になり、幅広い層に受け入れられそうだ。現時点では価格は未定だが、同時に発表された4Gモデルの「AQUOS sense4」と大きな差は出ないといい、ドコモの5Gスマートフォンでは本体価格が最安になる見込みだ。
ドコモのプロダクト部 部長の安部成司氏は、「お客さまが手に取りやすい端末を(ハイエンドモデルと)合わせて提供していくことが重要で、ミドルレンジ側を厚くした」とラインアップの狙いを語る。一方で、ハイエンドモデルはサムスン電子の「Galaxy Note20 Ultra 5G」と、ソニーモバイルの「Xperia 5 II」の2機種に厳選。iPhone 12シリーズが全4機種ある上に、春夏モデルも継続販売されるため、全体で見れば数は少なくないものの、冬春モデルとして新規採用した端末は、ミドルレンジを中心に据えた格好だ。
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