「公正競争を阻害する」 KDDIやソフトバンクらが“ドコモ完全子会社化”の意見申出書を提出(2/2 ページ)

» 2020年11月11日 20時27分 公開
[田中聡ITmedia]
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光ファイバーの料金が高止まりする懸念

 NTT側は、NTTのドコモ完全子会社化や、NTTコムのドコモへの移管は、それ自体が禁止行為規制に抵触するわけではなく、NTTの澤田純社長も「法制度上は問題ない」と説明している。

 では、今回の意見申出書で述べられている「公正競争の阻害」とは、具体的にどういうことなのか。NTTグループは光ファイバーなどのボトルネック設備を保有しているという優位性を持つが、NTTグループが一体化することで、その優位性がさらに強まることになるという見立て。これは携帯電話の基地局展開にも影響を及ぼす。高い周波数帯を用いる5Gでは、緻密な基地局建設が不可欠になるため、必要な光回線数が増加する。

NTT 高い周波数帯を使う5Gでは、光ファイバーの重要性が増す
NTT 固定通信や移動体通信を問わず、光ファイバーの設備を持つNTTグループの優位性がますます高まる

 仮にNTT東西が光ファイバーなどのボトルネック設備を、NTTグループと競争事業者に同等の条件で貸し出したとしても、「すごく高い値段で卸料金を出すとなった場合、ドコモも競争事業者も赤字になることが想定されるが、NTTグループとしては連結なので困ることはない」(岸田氏)という状況になる。

NTT ボトルネック設備を持つNTT東西とドコモが一体化することがないよう担保することが必要だとしている

 松井氏は「NTTさんの中でお金が移動しているだけなので、料金が高止まりする。表に見えない部分で、実質的に競争から排除されることがあり得るのではないか」と危惧する。楽天モバイル 執行役員 渉外部長の鴻池庸一郎氏は新規参入事業者の立場から、「(光ファイバーの)料金が高止まりすると、これから新規に参入していく事業者にとっても、公正競争の阻害になることを懸念する」と話した。

 グループ全体で見ると資本力に余裕が生まれるため、携帯料金の値下げもしやすくなる、という見方もある。ドコモが赤字を覚悟で料金値下げをする恐れもあるが、岸田氏は「料金はさておき、いろいろな面で支配力を発揮できることは懸念している」と述べるにとどめた。

子会社化は阻止できないが、しっかり議論をすべき

 総務省はドコモの完全子会社化について、今のところ反対の意は表明していない。武田総務大臣は、9月29日の記者会見で「社会環境に合致した健全なやり方を期待している」とする旨のコメントを出しており、容認しているとも受け取れる。

 意見申出書は総務省に提出したばかりなので「具体的なコメントはいただいていない」(松井氏)が、「容認しているというよりは、社会環境が変わっているという状況を踏まえて、見直しがあってもいい」(同氏)と捉えている。その点は否定しないものの、ボトルネック設備の公平な運用を求めていく。

 なお、NTTのTOB(株式公開買い付け)は「阻止できない」(岸田氏)が、本来は「環境変化について議論をしてからやるべき」(松井氏)で、順番が逆転してしまったとの見方。「TOBというタイミングではなく、しかるべきタイミングで必要な議論をしていくべき」(鴻池氏)

 その議論の場としては、これまでNTTの在り方について議論されてきたときと同様、情報通信審議会や同等の場で、競争事業者や有識者などを含めた公開議論の実施を要望する。その上で、環境変化に応じた競争ルールの整備が必要だとしている。

NTT 審議会での政策議論を踏まえて競争ルールを整備すべきだとしている
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