―― なるほど。そうなると、次にどういった方向にこのサービスを広げていくのでしょうか。
安東氏 小路からもドコモとの接続の話がありましたが、ドコモのNSAでの接続も、次のステップとして考えていかなければなりません。5Gならではの性能的、機能的進化をお見せできるようになるのは、SAになってからですね。次の次としては、SA構成でのサービスを目指していかなければいけないと考えています。ただ、実際にSAと言っても、キャリアとどういう接続形態になるのか、どういう機能開放がされるかというところは、しっかり考えていかなければなりません。また、SAのような展開になると、ローカル5Gとどう合わせていくのか。ソリューションという体系での提供になりますが、そういったところに足を伸ばしていくことになります。
―― SAになったとしても、接続がMbps単位だと根本的な問題があまり変わらなそうな印象は受けます。
安東氏 そこは変えていきたいし、変わってほしいところです。われわれとしても、総務省のアクションプランと絡めながら、しっかり活動していくところです。最終的にどういう形に帰着するのかはまだ見えていないですし、容易ではないのはその通りですが、前に進んでいないわけでもありません。
―― 本来なら、速度が10倍でデータ量が10倍多く流れるなら、接続料は10分の1にしてくれないと割に合わないですよね。
安東氏 極論を言えばそうで、そういうふうになっていかないと立ち行かなくなるのは事実です。将来原価方式で将来の原価が出ていますが、それによって来年(2021年)、再来年(2022年)と見えてきたときに、接続料に合わせたサービスの向上はやっていかなければならないと思います。
―― 法人向けでの提供になりましたが、ここからコンシューマー向けのIIJmioにも広げていく可能性はあるのでしょうか。
安東氏 5Gの価値を踏まえたコンシューマー向けのものは、先になってしまいます。ただ、5Gに対応したデバイスは、少しずつ増えていて、それを使いたいお客さまも当然います。デバイスに5Gが入ったときに、きちんと使えるところは目指していかなければいけないと考えています。
―― 5Gを始めた経緯ですが、IIJはMVNEとして、多くのMVNOを支援しています。こういったMVNOからの要望もあったのでしょうか。
小路氏 あるかないかで言えば、ありました。われわれのお客さまは、販売側に近い方が多いので、やはり「5G対応」と言いたいパッションを持っています。それで、皆さんが幸せになるかというと「うーん」と思うところですが……。
―― ただ、LTEと同額ならば、5G対応を選ばない理由もないのではないでしょうか。
小路氏 5G SIMをLTE端末に挿すと、使えないことがあります。当初は全て5GのSIMにして、LTE端末でも使ってもらうというノリで考えていましたが、やはり5Gは5G SIM、LTEはLTE SIMで分けて考えなければなりません。
―― それは、SIMカードと端末、どちらの問題なのでしょうか。
大内氏 正確に言うと、タイプKの場合は恐らく問題ありませんが、将来タイプDで5Gをやった場合、小路が指摘した問題が出てくる可能性があることが分かっています。MVNOとして提供する際に、将来的な混乱を避けるために、今のような形にしています。タイプKだと4G、5Gどちらの端末でも使えるが、タイプDの5G SIMは5G端末専用となると混乱するので、それを防ぐため、無線規格ごとに分ける判断をしました。われわれの場合、お客さまが持ち込んだ端末を使うことも多く、混乱が生じやすいのも一因です。
―― なるほど。確かに、それだと分かりづらくなりますね。
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