大手キャリアやサブブランド、他のMVNOが低価格を訴求している状況で、石川氏も「UQ mobileだけでなく、大手3社のオンライン限定プラン、Y!mobile、楽天モバイル、MVNOの料金も相当意識した」と率直に語った。
「価格が非常に重要なことは否定しない、だから半額にした。十分戦える水準を検討し、今回の内容になった」と石川氏は言う。しかしドコモの「ahamo」、auの「povo」、ソフトバンクの「SoftBank on LINE」は20GBで2480円あるいは2980円。J:COMの新しい大容量プランは20GBで2480円と、価格的には同水準だが、混雑時の通信品質も考慮すると有利とはいえないだろう。
小容量から20GB、25GBといった大容量プランまでそろえるUQ mobileやY!mobileとはガチンコ勝負になりそうだが、こちらも通信品質で相手優位な面がある。mineoの新料金「マイピタ」は業界最安水準をうたっており、1GBプラン以外はJ:COMの方が100円から500円高い。J:COMの価格面でのインパクトはそれほど大きくない。
それに対し石川氏は「MVNOは価格だけじゃなく、創意工夫による独自性が必要」とし、J:COMならではの特徴的な取り組みについて語っている。
まずは「柔軟なデータ容量の使い方」。テザリングの利用料はなく、余ったデータ容量は翌月に繰り越せる。容量の上限を超えた後も1Mbpsの速度で使うことができ、10万のWi-Fiスポットを無料で利用できるメリットを挙げた。
また、J:COMサービスのエリア内では、初期設定などを無料で訪問サポートする「初期設定サポート」と、遠隔、電話、訪問でスマホの使い方などを案内する月額500円の「おまかせサポート」も特徴に挙げた。
「おまかせサポートで訪問できるのはJ:COMサービスのエリア内だけだが、しっかりサポートする。これはテレビやネット、固定電話などJ:COMサービスの全てをサポートする」(石川氏)
J:COMサービスとの連携強化もアピールした。「J:COM VOD」と「J:COMミュージック」はスマホで見るとデータ通信料をカウントせず、放送はリモートで視聴・録画予約が可能になっている。自宅でも外出先でも見たいというニーズに対応しているのが一番の特徴だとした。
J:COMが提供しているこれらのサービスを、ワンストップで体験できるアプリとして1月25日にリリースされた「MY J:COM」も紹介。テレビの放送とOTTのサービスをシームレスに見られるJ:COM LINKとの連携だけでなく、サポート機能も充実したスーパアプリだとアピールしている。
2021年夏には、KDDIの設備改修が整うタイミングで、全プランが5Gに対応することも明言。現時点で5G対応料金が別に用意されるのか、今回のプランが自動適用されるのかは決定していないという。「なるべく同じようにと思っているが、実際の利用量など総合的に判断して決定したい。決まり次第、ご案内する」(石川氏)と話すに止めた。
他社の発表によっては、今後さらなる値下げはあるかと問われた石川氏は、「当然、市場環境を見て改訂をしていくが、他社の方が100円安いから改訂というよりは、総合的な価値、料金以上の価値をサービスで実現したい」と語り、他社にない価値を提供し「お客さまに一番近いMVNO」を目指すと意気込んだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.