カメラは4800万画素のシングルカメラを搭載しており、4つのピクセルを1つにして撮ることが可能。撮った写真は1200万画素相当になるが、ピクセルのサイズが大きくなるため、暗所でもキレイな写真が撮れる。AIによる補正もかかり、料理がかなり暖色気味になったり、青空がパッキリと写ったりする。こうした処理は、昨今のスマートフォンに搭載されるカメラのトレンド。シングルカメラながら、ポートレートモードで背景をボカすことも可能だ。
セルフィー以外でも、先に挙げたクイックビューディスプレイを生かすことができる。「アイキャッチアニメ」はその1つで、人物を認識すると、クイックビューディスプレイにイラスト調の顔が表示される。これは、子どもを撮影にする際に、注意を引けて便利な機能だ。
実際、筆者も子どもを撮影したときに、すぐにアイキャッチアニメに気付き、カメラをしっかり見てくれた。当初は筆者もこの機能を知らず、子どもに「顔が映ってる!!」と言われて意味が分からなかったが、クイックビューディスプレイをのぞいてみて納得した次第だ。撮影した写真のプレビューを表示して、相手に写り具合を確認してもらうこともできる。
難点は、シングルカメラであること。ミドルレンジ以上のスマートフォンは、そのほとんどが超広角や望遠など、複数のカメラを備えているが、razr 5Gはシングルカメラのため、画角を切り替えることができない。望遠は画素数の高さを生かしたデジタルズームでもいいが、写っていないものまで勝手に再現することは不可能だ。約20万円(SIMロックフリー版は約18万円)という本体価格を考えると、最低限、超広角と広角のデュアルカメラにしてほしかったというのが本音だ。
プロセッサには、QualcommのSnapdragon 765Gを採用する。7シリーズのSnapdragonはミドルレンジの中でも上位の端末に搭載されるもので、処理能力は高い。ただし、Snapdragon 865を積んだ他社のハイエンドモデルと比べると、ベンチマークアプリなどのスコアは一段劣る。操作感は非常によく、一般的なアプリを使っていれば違いは分からないかもしれないが、プロセッサの性能をギリギリまで使うゲームでは画質などの差が出てくる可能性はある。
持ち運びやすさと大画面を両立させるというコンセプトは達成できているrazr 5Gだが、カメラ機能に物足りなさを感じるなど、不満がないわけではない。おサイフケータイに非対応なのも残念なところだ。また、razr 5Gはフィーチャーフォン時代と同様、開いた状態と閉じた状態のどちらかで使うことになる。開閉の途中でカチッと止まるヒンジではないため、机やテーブルの上で使うことはできない。その意味で、形状の近いGalaxy Z Flip 5Gより、コンセプトはフィーチャーフォン寄りだ。
フォルダブルスマートフォン自体がまだまだ未成熟なため、razr 5Gにも粗削りな部分があることは否めない。一方で、デザイン性の高さや、持ち運びやすさといったモトローラの狙いは、きちんと達成できているように思える。カチッと端末が閉じるときの気持ちよさや、フィーチャーフォン時代のRAZRをほうふつとさせる形状など、他の端末に代えがたいところも多い。最近のスマートフォンに飽き飽きしているユーザーにこそ、ぜひ触ってみてほしい1台といえそうだ。
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