なぜ楽天モバイルがiPhoneを扱えるようになったのか? そのインパクトを解説する石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2021年04月24日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

 本格参入から約1年。楽天モバイルが、ついにiPhoneの取り扱いを開始する。Appleが4月22日未明に発表したiPhone 12、12 miniの新色パープルや、失せ物防止タグの「AirTag」の発売に合わせ、発売は30日を予定する。これに先立ち、4月22日からiPhone 12シリーズの予約を受け付けている。

 iPhoneの取り扱いでも最後発になった楽天モバイルだが、iPhone 12シリーズはフルラインアップの全4モデルを取り扱う他、2020年4月に発売された第2世代のiPhone SEも発売。端末以外では、上記のAirTagまで取り扱う。

 他キャリアとの差別化として打ち出したのが、価格だ。本体価格は4キャリアで最安に設定。さらに、新規契約時のポイント付与キャンペーンも行い、最大で2万円相当のポイントを還元する。ついに発売が決まった楽天モバイルのiPhoneだが、そのインパクトを読み解いていきたい。

楽天モバイル ついにiPhoneの取り扱いを開始する楽天モバイル

“iPhoneがない”ハンディをついに解消した楽天モバイル

 第4のキャリアとして携帯電話市場に参入した楽天モバイル。ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3キャリアよりリーズナブルな通信料金や、いち早く無制限のデータ通信容量を打ち出してきた一方で、エリアの広さと並び、端末のラインアップは同社の弱点の1つだった。AndroidはシャープのAQUOS senseシリーズやOPPOのRenoシリーズで数を伸ばしつつ、足りない部分は自社ブランドを冠したRakutenシリーズで補っていたものの、“iPhone不在”は大きなハンディだったといえる。

楽天モバイル
楽天モバイル ミドルレンジ端末を拡充したり、自社ブランド端末を投入したりと、端末ラインアップにもこだわっていた楽天モバイルだが、iPhone不在の穴は大きかった。画像は2020年12月の発表会

 ご存じの通り、日本は諸外国に比べ、特にiPhoneのシェアが高い。2019年10月の電気通信事業法改正による端末購入補助の制限を受け、高価格帯のハイエンドモデルは売れ行きに急ブレーキがかかっているが、依然として、スマートフォンの出荷台数の4割近くをiPhoneが占めている状況だ。調査会社のMM総研が2021年2月に発表した2020年の端末出荷台数では、Appleが携帯電話全体の中で43.1%、スマートフォンに限定すると46.5%のシェアを占めていることが分かる。iPhoneがないと、約半数のユーザーを取り逃してしまうというわけだ。

楽天モバイル MM総研が発表した2020年のメーカー別シェア。ハイエンド端末の売れ行きにブレーキがかかる中、依然としてiPhoneは高いシェアを維持している

 もちろん、iPhoneはApple自身もSIMロックフリーモデルを販売しているため、ユーザー自身が端末を単体で購入して、楽天モバイルのSIMカードを組み合わせて使うことはできる。筆者自身も、SIMロックフリーで購入したiPhone 12 Proに楽天モバイルのeSIMを入れ、活用している。端末と通信料金の分離が原則なっているなか、こうした使い方をする人も徐々に増えている。

 実際、楽天モバイルはiPhone向けに「my楽天モバイル」や「Rakuten Link」といったアプリをリリース。自社サイトで端末別の対応状況を公開するなど、SIMロックフリーや他社のiPhoneを持ち込むユーザーに対しても対応してきた。一方で、楽天モバイル自身が正式に取り扱うのと、SIMロックフリーのiPhoneを受け入れるのでは、2つの決定的な違いも存在する。

楽天モバイル iPhone向けに自社アプリを提供するなど、SIMロックフリー端末への対応は行ってきた。画像はmy楽天モバイル

 1つは販売だ。分離プランが義務化されたとはいえ、日本ではスマートフォンをはじめとする携帯電話端末をキャリアから買う習慣は根強い。全国津々浦々に展開しているキャリアショップに対し、Appleの実店舗は大都市部に限定されている。徐々に拡大しているとはいえ、先に挙げたMM総研の調査結果でも、SIMロックフリースマートフォンは全体の12.9%とまだまだ一部にすぎない。しかも、この12.9%には、SIMロックなしで端末を販売する楽天モバイルやUQ mobileなども含まれている。iPhoneがないことは、楽天モバイルにとって大きなハンディだったことが分かるはずだ。

楽天モバイル SIMロックフリー全体のシェアは上がっているものの、キャリアを通じた販売が主流であることに変わりはない。グラフはMM総研調べ
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