ドコモの5Gギガホ プレミアは、「料金プランの設定」「通信速度」「Xiエリアを含むネットワークの充実」の3点において優れていることは間違いありません。しかし、auやソフトバンクと比べると“足りない”ものがあります。それは、ずばり自宅に据え置いて使うためのルーターです。
auでは、自社のau 4G LTE回線と、UQコミュニケーションズ(KDDIの子会社)が提供するWiMAX 2+回線に対応する据え置きルーター「Speed Wi-Fi HOMEシリーズ」を販売しており、専用の料金プランも用意しています。ソフトバンクでは、Wireless City PlanningのAXGP回線と自社のSoftBank 4G LTE回線(一部機種)に対応する据え置きルーター用通信サービス「SoftBank Air」を提供しています。
これらの据え置きルーターは、モバイル(可搬性の高い)ルーターと比べると以下のメリットがあります。
(※)Broadband Wireless Access(無線ブロードバンド)
モバイルルーターでは電波的に通信が厳しい環境でも、同じ場所に据え置きルーターを置くと通信できるということもよくあります。自宅など屋内でモバイルインターネットをする場合、据え置きルーターには大きなメリットがあるのです。
先日の旅行で、筆者はドコモの5Gルーター「Wi-Fi STATION SH-52A」とASUSの小型メッシュWi-Fiルーター「Zen WiFi AX Mini(XD4)」を使ってみました。
「SH-52AもWi-Fi 6に対応しているよね?」と思った人もいるかもしれませんが、部屋を移動した際も通信品質を高めるために、あえてSH-52AのWi-Fi機能は使わずに、別途Wi-Fiルーターをつなぐことにしたのです。
モバイル通信の電波をしっかりとつかむため、SH-52Aは窓際に置きました。しかし、それが“あだ”となって、SH-52A自体の発熱によって通信が不安定になるというハプニングが発生……。特に天気の良い時間帯は、太陽光による熱も加わって不安定さが増しました。
通信の不安定さは、単純に通信速度が遅いことよりも大きなストレスを覚えがちです。元々通信速度が遅いと分かっていれば、大容量ファイルのやりとりを控えたり、動画や音楽は出かける前にオフライン保存したりといった対処もできます。しかし「速いと思ったら急に遅くなった」を繰り返すと、イライラがどうしても増してしまうんですよね……。
結局、SH-52Aに刺していたSIMカードを、予備機材として持ってきていた据え置きルーター「Speed Wi-Fi HOME L02」に移して使うことにしました。L02は5G非対応ですが、家に据え置いて使うことを前提にした設計です。そのおかげか、通信は非常に安定し、イライラも収まりました。
ドコモの5Gギガホ プレミアは、スマートフォン、タブレット、ルーターといった端末の種類を問わず“共通”のプランとなっています。デバイスを問わず使えることが何よりのメリットですが、ドコモ自身が据え置きルーターを用意していないため、自宅に据え置いて使うニーズを逃してしまっているような気がします。
もっとも、ドコモの井伊基之社長は、各種メディアとのインタビューで固定回線代わりとなる無線通信サービスの提供に前向きな姿勢を示しています(関連記事)。SoftBank Airに対する「docomo Air(仮)」的な、据え置きルーターを使ったサービスの開始に期待したいです。できれば、その際に投入する据え置きルーターは5Gギガホ プレミアでも使えるもので……。
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